メルセデス・ベンツCLS350ブルーエフィシエンシー・シューティングブレイク
公開 : 2012.12.26 18:15 更新 : 2017.05.13 12:52
「機能は副産物」というが、シューティングブレーク化によって向上した機能は着実にあって、実際に所有する場合にはそれなりにありがたい。
まずはリヤシートが3人がけの計5人乗りになった(4ドアの乗車定員は4名)。また、4ドアの後席はご想像のとおりヘッドルームがタイトだったが、ルーフが後ろまで伸びるシューティングブレークは明らかに余裕あり。後席の足もとや室内幅はもともと余裕があったので、CLSシューティングブレークはこのサイズのサルーンとして不足ない居住性を持つにいたっている(ただし、ウインドウ面積が異様に小さいので、室内は昼間でもうっそうと暗いけれど)。
ラゲッジスペースも、シートを起こした通常時の容量で4ドアより2割以上大きい590ℓ。スタイル最優先なのでEワゴンよりは65ℓほど小さいが、当世随一のラゲッジキング比でこの程度の差なら、実質的な機能はステーションワゴンと呼んでもさしつかえない。ちなみに、5シリーズ・ツーリングの通常容量は560ℓ、A6アバントのそれは565ℓしかない。
基本メカニズムももちろん4ドアとほぼ同じだが、最も安価な350にもリヤに車高レベリング機構付きのエアサスがつく。この辺の構成はEワゴンに似る。今回はもっとも廉価な(といっても1000万円近いが)350のみの試乗となったが、ワゴンボディ化によるボディ剛性変化その他の弊害はほとんど見られない。リヤ周辺で成人男性ひとりぶんほど重量が増していることもあって、少なくとも空荷状態ではエアサス特有の突っ張るようなクセもほとんどない。とくにV6の350はノーズが軽く、このシューティングブレークでは前後重量配分はリア優勢になる。Eより高いロールセンターとワイドトレッドで路面にフラットに張りつきつつ、コーナーも実に軽快にクリアする。それにしても、Eと基本的に同じハードウェアを使いつつも、静粛性や乗り心地で、明らかな高級感を演出する手腕は、さすがに巧妙。とくにE最大の弱点といえるフロア震動は、CLSではかなり抑制されている。商品力はメルセデスの狙い通り、EとSの中間モデルらしいありがたみが確実にある。
(文・佐野弘宗 写真・田中秀宣)
メルセデス・ベンツCLS350ブルーエフィシェンシー・シューティングブレーク
価格 | 970.0万円 |
0→100km/h加速 | 6.7秒 |
最高速度 | 250km/h |
燃費(欧州混合) | 13.7km/ℓ |
CO₂排出量 | 169g/km |
車両重量 | 1830kg |
エンジン形式 | V6DOHC, 3497cc |
エンジン配置 | フロント縦置き |
駆動方式 | 後輪駆動 |
最高出力 | 306ps/6500rpm |
最大最大トルク | 37.7kg-m/3500-5250rpm |
馬力荷重比 | 167ps/t |
比出力 | 88ps/ℓ |
圧縮比 | 12.0:1 |
変速機 | 7段A/T |
全長 | 4960mm |
全幅 | 1880mm |
全高 | 1420mm |
ホイールベース | 2875mm |
燃料タンク容量 | 80ℓ |
荷室容量 | 590-1550ℓ |
サスペンション | (前)マルチリンク |
(後)マルチリンク | |
ブレーキ | (前)φ360mmVディスク |
(後)φ320mm Vディスク | |
タイヤ | (前)225/40R18 |
(後)255/40R18 |