フォルクスワーゲン・ティグアンTSIブルーモーションテクノロジー
公開 : 2012.12.26 18:28 更新 : 2017.05.29 18:58
SUVは4WDで当然。ゴルフ・ベースのSUVだからティグアンはもちろん4WD。そう思い込んでいたところにFWD版が上陸した。チェロキーの例を引くまでもなく、本国にはSUV形態のクルマでもFWD版があることが多い。ところが、どうせ同種の日本車よりもいくらかは高くなって台数も少ない輸入車なのだから、分りやすいキャラクターにしたほうがいいとか、たぶんそんな理由で2輪駆動の輸入SUVはあまり売られていなかった。それでもVWはFWDティグアンを導入した。細かい商売まで丁寧にやる段階に入ってきたということであり、VWジャパンの伸張の勢いを物語る。
それはともかく、4輪駆動が当たり前と思っていたクルマの2輪駆動の得失はどうなのか。まず真っ先に考えつく2輪駆動版の利得は、従輪への駆動系がなくなって軽くなることである。4WD駆動系の軽量化に世界トップレベルの技術を持つスバルのようなメーカーはともかく、一般的にはその重量差は大きく、同じエンジンで比較できるティグアンの欧州ラインナップで計算してみると100kg以上の違いが出る。日本では今回導入されたFWD版が1.4ℓツインチャージャーを積むのに対して、従来からある4WD版は2.0ℓ直4ターボを搭載するのだが、この両車で比べても重量差は100kgだ。言うまでもなく動きは軽くなる。駆動系の引きずり抵抗の差も加わるから、燃費に関しても差は出るはずだ。
ところが、実際の乗り味という話になると、事は単純に行かない。上の理屈どおりに、FWD版がすっきりして乗り味がいいケースも多い。例えばかつてのインプレッサあたりが好例だ。一方で4WD版では感じられた走りのコシが、FWD版ではなくなってスカスカ感のようなものが出ている例もある。アウディがその代表。積分型のエンジニアリングを得意とするアウディは、システムをこれでもかと投入したクルマのほうが納得感が強いのだ。
では、そのアウディと連合を組むVWがどうなのか。そんなことを考えながらFWD版に試乗してみたところ、要素によって優劣は様々であった。