マツダの展示車が、ひときわ目立つワケ 個性派ばかりのジャパン・モビリティショーで「美」の本筋
公開 : 2023.10.26 21:05
マツダが発表した「アイコニックSP」。近年のコンセプトカーでは忘れられがちな物が、そこにはありました。見る価値のある1台を考えます。
次期ロードスターか、新型RX-7か
マツダは、ジャパン・モビリティショー(JMS)において「今回のテーマを象徴するコンセプトモデル」を初公開するとし、ティザー画像1点のみを事前に発信していた。
それを見たクルマ好きの間で「次期ロードスターのコンセプトか?」という噂が広がる。
そしてJMSの初日、マツダ・ブースのメインステージにはヴェールに覆われた低いプロポーションのクーペ風のモデルがお披露目を待っていた。
毛籠勝弘社長らのプレゼンの後、アンヴェールされた車両は鮮やかなレッドのクーペ「アイコニックSP」だった。
このクルマのデザインを担当したデザイン本部アドバンスデザインスタジオ部長 兼 チーフデザイナーの岩尾典史氏に話を伺えたので、その言葉を紹介しておこう。
ちなみに、2015年の東京モーターショーに出品された「RXビジョン」や、2017年の同ショーに登場した「ビジョン・クーペ」も岩尾氏のデザインになるものだ。
まさかの2ローター? 燃料は?
アイコニックSPの外寸は、全長4180×全幅1850×全高1150mm、ホイールベースは2590mm。
現行型のNDロードスターが3915×1735×1235mm、ホイールベースが2310mmだから、車高は低いが、それ以外はひとまわり以上大きい。
また、3代目のアンフィニRX-7(初期型)は4295×1760×1230mm、ホイールベースは2425mmだったから、それよりも全長は短いが幅広く、低いといったプロポーションだ。
となると、フィクスドトップのクーペであるし、後述するロータリーエンジンも搭載しているし、「これは次期ロードスターではなく、RX-7を復活させるのか?」などと期待してしまう。
パワートレインには水素などさまざまな燃料を燃やせる拡張性の高いロータリーエンジン(2ローター)をフロントミドシップの形で搭載し、これで発電した電気をセンタートンネル部のバッテリーに蓄え、リアに搭載したモーターで後輪を駆動する「ロータリーEV」システムを採用している。
つまり、一種のシリーズハイブリッドだ。1450kgの車両重量にパワーユニットの最高出力は370psだから、パワー・ウエイト・レシオは3.9kg/psだという。
マツダでは既にMX-30で同様のシステムのロータリーEVを発表しているが、それは1ローター。
2ローターにした理由を尋ねると、スポーツカーゆえの「パワーを求めた結果」であるという。残念ながら今回の展示車両はモックアップで、まだパワートレインは搭載されていないようだが。