マツダの展示車が、ひときわ目立つワケ 個性派ばかりのジャパン・モビリティショーで「美」の本筋

公開 : 2023.10.26 21:05

「企業秘密です」 デザインに注目

それにしても、アイコニックSPのスタイリングは美しい。

軽量コンパクトなロータリーエンジンのおかげでボンネットは限りなく低い。その両側のフェンダーの抑揚がネオクラシカルなスポーツカーらしい佇まいを見せている。

マツダ・アイコニックSPの内装
マツダ・アイコニックSPの内装    篠原政明

ドアは前ヒンジで斜め上方に開くタイプ(岩尾氏は「ガルウイング」と呼んでいた)で、これはドアの大きなクーペの乗降性を考慮したことと、スポーツカーならではの乗り降りのカッコ良さも追求した結果のようだ。

リアはガラスハッチになっているのも、歴代のRX-7を彷彿とさせる。

ボディカラーは「ヴィオラ・レッド(VIORA RED)」と呼ばれる、ソリッドカラーながら深みやみずみずしさを感じさせる鮮やかな赤色だ。

“赤を大切にしたい”というマツダの想いをもとに、“前向きに今日を生きる人の輪を広げる”という企業理念を重ね合わせて創ったコンセプトカラーだそうだが、その発色のノウハウは「企業秘密」のようだ。

来場者は感じ取っていた、見るべき1台

ベルトラインを下げてボディの厚みをおさえたり、タイヤは前後とも235/35R19サイズと必要以上に大きくしないなど、バランスのとれたデザインの美しさを追求している。

その美しさは海外メディアからの注目も高く、プレスデーでは多くの外国人ジャーナリストたちもアイコニックSPに集まっていた。

マツダ・アイコニックSP
マツダ・アイコニックSP    篠原政明

インテリアはブルーを基調にボディカラーのレッドをアクセントに配している。シートの素材に麻などの植物繊維を採用したり、環境にも配慮した。

「瞼」風のセミリトラクタブル・ヘッドランプやドアの開閉方式など、市販を考えたときには採用されにくい点もある。だが反響次第ではあるが、マツダではこのスタイリングでの市販化をも検討しているようだ。

今回のJMSではEV化を進めるが故に、クルマ本来の美しさから逸脱してしまったモデルも見かけられた。そんなJMS会場の中で、多くのギャラリーを魅了したアイコニックSPの美しさは、ひときわ光っていた。

なお、マツダのブースでは、このアイコニックSPのほかに一部改良された新型ロードスター、初代(ユーノス)ロードスター、子どもが実際に乗れる3分の2スケールのロードスター、福祉車両のロードスターSeDV(セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル)なども展示され、さながら「ロードスター祭り」の様相も呈していた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。

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