マイルドになったのにワイルド? これぞSAC代表 BMW X6Mコンペティション

公開 : 2023.10.27 20:25

BMWがX6を形容する際に使う、SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)というキャッチコピーを、V8ユニットに加えてマイルドハイブリッドが追加となった、X6Mコンペティションの試乗を通して改めて体験しました。

3代目後期 マイチェンは顔が命?

第一印象は「いかついなぁ」というもの。

では、いかついとはどんな意味なのか?ググってみると「ごつごつしていかめしい」ちなみに「いかめしい」というのは「人にこわい感じを与えるような」という意味。これは言い得て妙だと感じた。

BMW X6Mコンペティション
BMW X6Mコンペティション

今回試乗するのはBMW X6Mコンペティションである。G06というコードネームの現行型BMW X6は2019年にデビュー。X6としては3代目、そして今年早々に後期型が登場している。

後期型の外見的な特徴は「顔」にある。外向き矢印風に光る細身のヘッドランプや、縦方向に拡大されたキドニーグリルを含むフロントマスク等が刷新されているのだ。特にX6Mの場合はキドニーグリルも黒塗り。その周囲もかなりの面積が黒く塗りつぶされていて、ワイルドな印象。前期型がちょっと古く見えてしまうくらいに精悍なのである。

一方、マイナーチェンジによる機構面の最大のトピックは、昨今の流行通り「ハイブリッド化」にある。Vバンク内に2基のターボを抱く4.4LのV8ユニットに48Vのマイルドハイブリッドシステムが追加されたのである。

ちなみにエンジンの型式としてはS63からS68に変更されているが、X6Mコンペティションの最高出力は625psで変わりなし。V8を搭載したもう1台、X6 M60i xドライブの場合も最高出力は530psなので前期型と同じ。12ps程度のモーターの出力は加算されない?ともあれ、いでたちはワイルド。走りはどうか?

進化の痕跡 意外にジェントル?

コクピットに座り、一通りの操作系をチェックする。ステアリングの左右スポーク上には真正のMモデルの証であるMボタンがちゃんとある。けれど2枚のパネルをつなげて横長に見せるカーブドディスプレイはラグジュアリーな雰囲気が漂ってM至上主義の方々には歓迎されないかもしれない。とはいえ逆にMモデルだからADASやインフォテイメントが簡素化されている、なんていう方がよっぽど受け入れられないだろうが……

ボディは大きいが、室内空間はそれほど広い感じがしない。上体を掴んでくるようなタイトなスポーツシートがMならではの緊張感を生み出しているからかもしれない。

BMW X6Mコンペティション
BMW X6Mコンペティション

スターターボタンを押すとドドーンという地響きのような第一声。マイルドハイブリッドとはいえあの「M」なのだからスタートの演出はこれで正しいのだと思う。スポーティだが凄くコワそうな風体にして、最高出力は625psだ。

タイヤは21インチのミシュランPS4Sを履く。だが首都高に合流してジェントルに走る限り、X6Mコンペティションの雰囲気は拍子抜けするほどマイルドなものだった。前期型はもうちょっと突き上げがはっきりと感じられ、それはそれでX6Mらしい感じがしていたのだが、そういう粒の粗さが少しも感じられない。

改良のアナウンスがなくても、マイチェンとともにあらゆる箇所に手が入っているというのは珍しくない。だが今回のX6Mは見た目と同じくらい、中身も進化しているようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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