先代ゴルフRの予算で狙える アストン・マーティンDB9 英国版中古車ガイド 美貌の維持は楽じゃない

公開 : 2023.11.06 19:05

大幅に一新されたグランドツアラー、DB9 お手頃価格でも維持費にご注意 気持ちを満たす美貌とエンジン 英国編集部が中古車で魅力を再確認

DB7から大幅に新しくなったグランドツアラー

V型12気筒エンジンを積んだアストン マーティンDB9が、先代のフォルクスワーゲン・ゴルフRと同程度の予算で狙える。2万2000ポンド(約398万円)で次のクルマをお考えなら、見逃せない事実ではないだろうか。

実際のところ、不安なく楽しめるDB9をお望みなら、その倍近くまで予算は増やしたい。それでも、7代目ゴルフRより遥かにパワフルで、シリンダーの数は3倍。0-97km/h加速は1.0秒以上速い。しかも、見とれてしまう美貌の持ち主だ。

アストン・マーティンDB9(2004〜2016年/英国仕様)
アストン・マーティンDB9(2004〜2016年/英国仕様)

4万ポンド(約724万円)を支払っても、納得できる内容ではないだろうか。維持費を別にすれば。

DB9の発売は2004年。モデルライフは長く、2016年に生産が終了した。最も新しいモデルなら、まだラインオフから7年しか経過していない。

グレートブリテン島のゲイドンに竣工した新工場で生産された、最初のアストン マーティンが、このDB9。先代のDB7から大幅に新しくなった、グランドツアラーといえた。ただし、当初はリコールが多発したけれど。

不具合の多かった電気系統がアップデートされたのは、2006年。同時にフロントシートも新しくなり、スポーツパッケージがオプションリストに追加されている。

2009年にもマイナーチェンジが加えられ、5.9L V12エンジンの最高出力は456psから476psへ上昇。乗り心地の良いビルシュタイン・ダンパーが組まれ、センターコンソールの実用性も増した。

幸せな気持ちにするスタイリングやエンジン

2011年にスポーツパッケージ・プラスが登場。2013年にも小改良を受け、最高出力は517psへ。ボディは軽量化され、剛性も高まり、3モード・アダプティブタンパーが与えられた。

モデルチェンジ間際の2015年にDB9 GTが登場。V12エンジンは547psまで強化され、新しいインフォテインメント・システムを獲得している。

アストン・マーティンDB9(2004〜2016年/英国仕様)
アストン・マーティンDB9(2004〜2016年/英国仕様)

トランスミッションは、基本的に年式を通じて共通。ZF社製のパドル付き6速オートマティックか、オートブリッピングを決めてくれる6速マニュアルを選択できた。

6速ATがお望みなら、2009年に改良版へ交代している。予算があるなら、その後期型を選びたい。6速MTは、大きなアストンを操っているという実感を高める。中古車の取引価格に変わりはないが、珍しさは段違いだ。

コンバーチブルは、ヴォランテと呼ばれる。シャシー剛性が強化され、サスペンションは僅かにソフト志向へ振られている。電動ソフトトップは、17秒で開閉できる。

英国の場合、クーペよりヴォランテの方が流通量は多い。価格は6000ポンド(約108万円)前後高くなる。

DB9にはオプションが多数設定され、ふんだんに実装された例も存在する。望ましいチョイスが、スポーツパッケージ。それでも信頼性を考慮し、整備記録や現在の状態を優先して選びたい。

ヴォランテだけでなくクーペでも、DB9の人間工学には妥協が多い。フロントシート側も、広々とは感じられない。それでも、グラマラスなスタイリングを眺める度に、マッシブなV12エンジンを目覚めさせる度に、幸せな気持ちになれるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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