運転すれば喜びの沼 アリエル・アトム 4R 容赦ない速度上昇 タイプR用4気筒で405ps

公開 : 2023.11.05 19:05

エンジンに6速MT、サスを更新したアトムの「4R」 シビック・タイプR用4気筒で405ps スーパーカー以上の一体感と陶酔感 英国編集部が評価

シビック・タイプR用4気筒で405ps

クルマへ詳しくない人がアリエル・アトム 4Rを初めて見たら、どんな反応を示すだろう。未完成のまま、高速ですっ飛んでいったと驚くかもしれない。そもそも、アトムは年間数10台しか生産されていない。

この「4R」は、グレートブリテン島の南西部、サマセット州の小さなワークショップで完成した、サーキットも公道も得意な最新モデル。通常のアトム 4と同じく、4Rのリアにそびえる大きなウイングはオプションとなる。

アリエル・アトム 4R(英国仕様)
アリエル・アトム 4R(英国仕様)

トラス構造のパイプフレームから突き出る、サイドポンツーンは標準装備。最高出力を355psから405psへ高めた、2.0L直列4気筒エンジンの冷却へ必要な装備らしい。

左側には、追加のラジエターが隠れている。これにより冷却能力を55%も高めたという。右側には、吸気を冷やすインタークーラーが隠れている。

その結果、ホンダ・シビック・タイプR用のターボユニットから、400馬力以上を引き出すことを可能としている。最大トルクは50.9kg-mと、排気量からは想像できない太さがある。

トランスミッションは、オプションだが、クワイフ社製の6速シーケンシャル・マニュアル。エア圧で作動し、1秒以内に5段も変速が可能だという。シフトダウンもシフトアップも、フルスロットルのまま受け付けてくれる。

スーパーカー以上の一体感と陶酔感

それに負けないくらい、ブレーキも強力。アンチロックブレーキの効きは12段階に設定できるというが、最もロックしにくくしても、巨大な何かに掴まれたかのように速度が落ちる。リアアクスルには、機械式リミテッドスリップ・デフも組まれる。

トラクション・コントロールも介入度を調整でき、ターボブースト圧は3段階に変更可能。405psを得るには、最も高める必要がある。

アリエル・アトム 4R(英国仕様)
アリエル・アトム 4R(英国仕様)

オプションとして、カーボンファイバー製ホイールとカーボンセラミック・ディスクブレーキを組める。通常のアイテムより、26kgもバネ下重量を削れるそうだ。

徹底的にこだわり抜かれた内容なだけに、価格はお安くない。英国ではベース状態のアトム 4Rで、7万7940ポンド(約1411万円)のプライスタグが付いている。

ちなみに、カーボンセラミック・ブレーキは5820ポンド(約105万円)。6速シーケンシャルMTを組むには、1万3500ポンド(約244万円)を上乗せしなければならない。試乗車は、14万ポンド(約2534万円)に達していた。

それでも価格価値は極めて高く、ランニングコストは低く抑えられる。同じくらいエキサイティングで特別なスーパーカーの半額といって良いだろう。お望みなら、走行距離5000kmの中古車が、約10万ポンド(約1810万円)で売りに出ている。

実際、並み居るスーパーカー以上の一体感と陶酔感を、アトム 4Rで謳歌できる。端的にいって、最高のドライバーズカーだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事