一見インプ 中身は別物 プロドライブP25に試乗 カーボンボディに456psのフラット4
公開 : 2023.11.07 19:05
ラリーのプロ、プロドライブ社が生み出したP25 スバルのEJ25型を徹底チューニングし456ps 比類ない体験を味わえる孤高のマシン 英国編集部が評価
もくじ
ーインプレッサWRC97の誕生25周年を記念
ースバルのEJ25型を徹底チューニング
ー最高出力456ps アンチラグ・システム付き
ーラリーステージの渦中のような速さと臨場感
ー比類ない運転体験を味わえる孤高のマシン
ープロドライブP25(英国仕様)のスペック
インプレッサWRC97の誕生25周年を記念
このブルーのクーペは、改造された古いスバル・インプレッサではない。レストモッド・モデルとも呼べないだろう。ぱっと見は、1998年に424台が生産され、英国には16台しか届けられなかった、インプレッサ 22Bと瓜ふたつだが。
確かに、膨らんだフェンダーラインやトランクリッド上のウイング、ブルーの塗装など、見た目の特徴はほぼ同じ。しかし、その内側を確かめると、共通する点は殆どない。
プロドライブP25は、事実上、新しいクルマだと考えていいだろう。ベースのボディシェルは、2ドアのインプレッサWRX STiのものを利用しているが、ボディパネルも2.5Lエンジンも、22Bとは基本的に異なる。
P25は、1997年の世界ラリー選手権(WRC)でマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得した、インプレッサWRC97の誕生25周年を記念して設計された。WRX STiをベースにした、この伝説的ラリーマシンの開発へ携わったのが、プロドライブだった。
ボディパネルのデザインを手掛けたのは、オリジナルと同じくピーター・スティーブンス氏。だがP25では、ほぼすべてカーボンファイバーで成形されている。
AUTOCARでは、プロドライブ会長のデビッド・リチャーズ氏と技術責任者のデビッド・ラップワース氏とともに、既に1度試乗させていただいている。だが今回は、サーキットも交えてその能力へ存分に迫る機会をいただいた。
スバルのEJ25型を徹底チューニング
エンジンは、ひと世代前に当たるスバルのEJ25型ユニット、2.5L水平対向4気筒がベース。独自開発の鍛造ピストンにカム、ポート研磨されたシリンダーヘッド、ハイフロー・インジェクターなどが組まれ、チューニングには抜かりない。
電気系統のワイヤーハーネスや、冷却系統も専用品だという。エグゾーストシステムはアクラポビッチ社製だが、これもP25のために特注されている。
トランスミッションは、プロドライブが設計した6速シーケンシャル・マニュアル。大きなシフトパドルも備わる。電子制御されるセンターデフと、フロントとリアの機械式リミテッドスリップ・デフを介して、四輪が駆動される。
サスペンションも独自の調整式。軽量なアーム類が組まれ、ダンパーとスプリングはビルシュタイン社製だ。
ドライバーズシートはフロアへ近づけてマウントされ、視線は低い。窓の外の景色はB22とほぼ同じでも、ダッシュボードの眺めは違う。外側の形状は共通だが、メーターパネルには液晶モニターが収まり、表面はスウェードで覆われ、高級感が漂う。
ステアリングホイールは、無駄なものが一切ない3スポーク。これも、握りやすいスウェード巻きだ。
センターコンソール上の小さなスイッチでイグニッションをオンにし、スターターを回すと、EJ25型ボクサーユニットが目覚める。バババッという勇ましいサウンドを放ちながら、落ち着いたアイドリングが始まる。