一見インプ 中身は別物 プロドライブP25に試乗 カーボンボディに456psのフラット4

公開 : 2023.11.07 19:05

最高出力456ps アンチラグ・システム付き

クラッチは電子制御で繋ぎやすく、まったく手間いらず。1度発進すれば、パドルを弾くだけでシフトアップが済む。基本的に左足を動かす必要はない。

ただし、ストレートカット・ギアを最大限に活かすには、ドライバーが歩み寄る必要はある。常にギアの唸るようなノイズが響いてくる。シフトアップ時はアクセルペダルを少し戻さないと、うまく噛み合わず盛大なカジリ音とともに拒否される。

プロドライブP25(英国仕様)
プロドライブP25(英国仕様)

慣れてしまえば、クロスレシオが小気味いい。ほぼシームレスに、次々にシフトアップしていける。ノイジーでパワフルなフラット4と、素晴らしい相性だとわかる。

複数のドライブモードが用意され、デフォルトはロード・モード。最高出力は400ps程度に制限されつつ、不足なく鋭いレスポンスを楽しめる。スポーツとスポーツプラス・モードでは、456psのすべてが開放される。

もっと刺激が欲しい場合は、スポーツプラス・モードでアンチラグ・システムを機能させられる。シフトチェンジ時にガソリンをエグゾーストへ噴射し、ターボの勢いを保てる。マフラーカッターから、破裂音と炎も吹き出す。利用環境は選ぶべきだが。

モードに関わらず、P25は眼を見張るほど速い。高度な四輪駆動システムの効果で、1馬力も無駄にされることなく、確実に路面へ展開される。WRCマシンそのままの、エキサイティングなサウンドとともに。その猛烈ぶりに、笑いが止まらない。

ラリーステージの渦中のような速さと臨場感

油断すると、慌てるほど速度上昇は急激。高まる鼓動を抑えるように、ブレーキペダルを蹴飛ばす。アシストの備わらないAPレーシング社製ブレーキは、望んだ制動力を生み出すために、相応のペダルの踏力が求められる。

それでも、これも慣れてしまえば不安はない。身体が疲れ果てるまで、確実にパワーとスピードを受け止めてくれる。

プロドライブP25(英国仕様)
プロドライブP25(英国仕様)

カーブへ突っ込めば、P25の真価を味わえる。グリップは揺るぎなく、トラクションは盛大。ステアリングホイールは適度に軽く、クイックで情報量が豊か。ダンパーは速度域が上がるほど、しなやかさを増していく。

軽く濡れた、カーブが連続する路面を、正確で強力に駆け抜ける。ステアリングホイールを必要なだけ切り、出口目掛けてパワーを加えていけばいい。速さと臨場感は半端ない。まさに、ラリーステージの渦中にいるかのようだ。

それでも、P25のフルパワーを引き出すには、サーキットを走らせる必要がある。ドライビング・テクニックも、サーキットへ合わせる必要がある。

高度なマシンとして、思い切りハードに扱うのが正解だろう。滑らかな操縦系を活用すれば、限界領域での漸進的な挙動へ迫れる。

コーナーでは、一貫してアンダーステアが強い様子。ラリードライバーのように、マシンと格闘することになる。勇気を振り絞り、アクセルペダルとブレーキペダルを正確に傾けなければならない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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