ターボラグが悪癖・・でも面白い アウディRS2 アバント 英国版中古車ガイド 元祖俊足ワゴン(2)

公開 : 2023.11.05 17:46

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

ボディシェルは亜鉛メッキされ錆びにくい。それでもホイールアーチとサイドシルなど、一般的に錆びやすい部分の確認は必須。事故歴がある場合は、修復状態も調べたい。バンパーの交換部品は探しにくく値段が高い。

エンジン

直列5気筒ターボエンジンは、高出力化されているものの堅牢。走行距離は長い例が多く、24万kmを超える例も珍しくない。とはいえ高ストレス状態にあることは間違いなく、過去の整備記録は良く確認したい。

アウディRS2 アバント(1994〜1995年/英国仕様)
アウディRS2 アバント(1994〜1995年/英国仕様)

エンジンオイルの漏れ、ノッキング、回転の乱れなどがないか確かめる。コイルパックの故障や、点火プラグの緩みにも注意。タイミングベルトの交換は、12万8000kmか8年毎が英国では指定されている。

ターボチャージャーも堅牢。ウエストゲートが不調になり、本来のパワーを発揮できない場合がある。排気ガスに黒煙が混ざるなら、マスエアフロー・センサーの不調を疑う。停止時にターボを冷却する、補助ポンプの調子も要確認。

トランスミッションとブレーキ

6速マニュアルのシンクロメッシュやクラッチの状態、変速がスムーズかを試乗で確認する。特に2速へ注意したい。ドラッグレースなどを過度に楽しまれてきた例では、1速が不調になりがち。アイドリング時に、ニュートラルで異音が出ないかも観察する。

ホイールとブレーキはポルシェ譲り。ブレーキはディスクのサビやキャリパーの固着、ハンドブレーキ・ケーブルの伸びなどを確認する。

インテリアと電気系統

車載機能がすべて動作するか、サイドウインドウの開閉が滑らかか、すべてを確かめる。ヒーターを最大にして、不自然なホコリ状のゴミが飛び出してこないか様子を見る。修理は高くつく。

内装にはRS2専用のトリムが多く使われている。レカロシートも専用品。欠損がないか観察したい。

アウディRS2 アバントのまとめ

最近、ますます魅力を増しているように感じるアウディRS2 アバント。だが、取引価格は安くなく、維持費もそれなりに必要だろう。酷く改造された例や、大きな事故にあった車両は避けたいところ。

アウディはスーパーカーを超える動力性能を、優れた実用性と組み合わせようと意図していた。だが実際は、そこまで高速化されているわけではない。

アウディRS2 アバント(1994〜1995年/英国仕様)
アウディRS2 アバント(1994〜1995年/英国仕様)

過度なチューニングは、クラシックカーとしての価値を下げる場合もある。しかし、多くの例には何らかのアフターマーケット・パーツが組まれているため、その内容が自身の要望に沿うものか、良く確かめたい。

良いトコロ

製造品質は高く、ボディシェルは錆びにくい。エンジンは高耐久。速いだけでなく、実用的なステーションワゴンだ。

良くないトコロ

RS2には専用アイテムが多く用いられ、交換部品が探しにくくなっている。走行距離は全般的に長く、必ずしも望ましい点検整備を受けてきたとは限らない。

アウディRS2 アバント(1994〜1995年/英国仕様)のスペック

英国価格:4万5705ポンド(1994年時)
生産数:2891台
全長:4496mm
全幅:1702mm
全高:1397mm
最高速度:267km/h
0-97km/h加速:4.8秒
燃費:6.4-9.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:1595kg
パワートレイン:直列5気筒2226cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:319ps/6500rpm
最大トルク:41.6kg-m/3000rpm
ギアボックス:6速マニュアル(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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