また、インテリアの質感にも力を注いだと言うとおり、キャビンにはなめらかな表面加工がふんだんになされており、最新のフォルクスワーゲンの質感(特につや消しの黒で統一されたモデル)に負けずとも劣らない仕上がりになっている。現実的な使い勝手もかなりのものだ。

ディーゼル・エンジンの仕上がりもとてもレベルが高く、速度域を問わず、とても落ち着いている。高速域では力強い加速を見せてくれ、6速のギアボックスとターボディーゼルの相性もかなり良い。

一般道では、改善された乗り心地の恩恵を如実に受けている。わずかに柔らかいスプリングと、アグレッシブなダンパーの組み合わせにはドライバーを唸らすものがあり、チェジュ島のバンピーな路面でも終始落ち着き払っていた。ボディロールは極限まで抑えられており、ステアリングフィール(電気モーターはコラムではなくラックにセットされる)は抜群にポジティブ。度重なるベンドでも憂鬱に感じることは皆無だった。

意図的にスロットル開度を上げて、エンジンに負荷を掛けてみても、きちんと意図したとおりに動いてくれるのはさすがである。

唯一の欠点といえばシャシー。市街地を走るような速度で路面不正を拾ったときに、リア・タイヤ周辺が嫌な振動を伝えるのだ。19インチ・ホイールや、大型のパノラミック・ガラスルーフの組み合わせがジャダーの原因となっているのではないかと筆者は考える。

■「買い」か?

考慮に入れる価値は絶対にある。サイズ、ユーティリティ、全天候型の多様性などを考慮すると、これほどの実力をもったクルマを同価格帯で他に見つけることは難しい。

それだけでなく、洗練性やパワー、コントロールの質感の融合も見事だ。キアが作ったクルマの中で史上最強と言ってもいいかもしれない。

その結果、フォルクスワーゲンの縄張りに足を踏み入れる事は必至だし、お買い得な値段を考慮すれば、あるいはプレミアムバッジをつけたランドローバーの新型ディスカバリー・スポーツともいい勝負になるかもしれない。ボルボXC90も、射程範囲に入ってくることになるだろう。

(ヒルトン・ホロウェイ)

キア・ソレント 2.2 CRDi

価格	£28,000(498万円)
最高速度	203km/h
0-100km/h加速	9.6秒
燃費	14.7km/ℓ
CO2排出量	178g/km
乾燥重量	1849kg
エンジン	直列4気筒2199ccターボ・ディーゼル
最高出力	200ps/3800rpm
最大トルク	44.9kg-m/1750-2750rpm
ギアボックス	6速オートマティック