ディフェンダー130こと、ロングボディ仕様の懐深さ 最強ファミリーカーかアウトドア・パリピ仕様か

公開 : 2023.11.01 22:05

ディフェンダー「130」の魅力を探ります。3列8人乗り仕様は、史上最強のファミリーカーなのか、それともアウドドア・パーティーの道具なのでしょうか。

インペリアル単位の心地よさとは?

ホイールベースの長さとボディ型式の違いをインチ表記、つまり英国式の帝国単位によって「90/110/130」と呼び分けるのは、ランドローバーの伝統。

とはいえ「ディフェンダー」というペットネームを名のることになった1991年以前は、「130」ではなく、むしろ「127」だった。

ディフェンダー130 D300(セドナレッド)
ディフェンダー130 D300(セドナレッド)    神村聖

いわば127(=約3226mm)は、1980年代半ばに追加された積載量拡充用のラダーフレーム・シャシーで、ダブルキャブのピックアップトラックかユーティリティ・バンだった。

ようは1991年を境にキリよく四捨五入気味に「130」と呼ばれるようになったものの、それこそディフェンダー・ファミリーの中でもっともヘビーデューティな仕様だったのだ。

それが型式L663を与えられた現行世代ディフェンダーとして、先行する90と110に続いて昨年「130」を加わった訳だが、日本の路上で実車を目の前にすると、さすがに隔世の感がある。

試乗車はファーストエディションでカタログモデルでいうSE相当だが、130限定カラーというセドナレッドの塗装クオリティからしてユーティリティ・バンらしからぬ仕上げの高さ。それが全長5275mmの巨躯でもって眼前に迫ってくる。実用的なギアには違いないが、品質感にシャビーさが一切ないのだ。

モダナイズされたヘビーデューティ

それにしても、スパっと切り落としたようなリアエンドの処理は、スペアタイヤケースが無かったらほとんどコーダ・トロンカといえる。

L663型に共通の、Cピラーを隠しつつボディサイドで視覚的アクセントになる正方形からリアエンドまで、つまりブラックアウトかつスムース化されたクォーターウィンドウが90や110より極端に長い訳だが、このモジュール感というかレゴ・ブロックのような後付けっぽさが、ディフェンダーという元祖クロカンを、今ドキのギア感で仕立て上げられたポイントだと思う。

ディフェンダー130 D300(写真はファーストエディション)
ディフェンダー130 D300(写真はファーストエディション)    神村聖

じつは130のホイールベース3020mmは、呼称からイメージされるものとは裏腹に110のそれと変わらず、4945mmからボディのリアオーバーハングを330mmストレッチすることで、3名が掛けられる3列目シートと、最大2291Lまで拡大可能なラゲッジスペースを確保している。

つまり8名乗りで、2列目シートも3列目シートも40/20/40分割可倒式なので、後席とラゲッジのモジュール性は相当に高い。ちなみに130には同じくロングボディながら、2列シートの5名定員というラゲッジ重視の仕様「OUTBOUND」も登場した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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