英国の充電事情 EVを「満タン」にするといくらかかる? 集合住宅でも充電できるのか
公開 : 2023.11.04 18:25
家庭用充電器の設置費用は?
EVの所有にこだわり、自宅で充電するのであれば、最大7kWで充電できる専用の壁掛けユニット(ウォールボックス)を使うのがベストとされる。
充電器メーカーはさまざまあり、レイアウトもテザー式(充電ケーブルが固定されているタイプ)とアンテザー式(車種ごとに異なるソケットやケーブルを選択できるタイプ)の2種類から選ぶことができる。
いずれにせよ、家庭用充電器の設置には資格を持った電気技師が必要だ。価格はピンキリだが、おおむね500~1000ポンド(約9万~18万円)かかると予想される。スコットランドでは、充電器の設置費用に対して400ポンド(約7万3000円)の補助金が支給される。
また、一戸建ての持ち家でこれからEVを購入する場合、ウォールボックスと設置工事を無料で提供してくれるメーカーも少なくない。
公共の充電施設での料金は?
英国の公共充電施設は数多くあり、車種や利用方法によって最適解が異なる。例えば、外出先で充電する頻度が高い場合は、従量課金方式を選ぶという手もある。一般的に1kWhあたり20ペンス(約36.7円)から1ポンド(約183円)で、DC急速充電器の方が高く設定されている。
インスタボルト(Instavolt)社は従量制を導入しており、非接触決済で1kWhあたり75ペンス(約137円)で利用することができる。他には、1時間あたりの料金(事実上の駐車料金)に加えて消費電力あたりの料金を請求するプロバイダーもある。
長距離移動が多いのであれば、BPMパルス(BP Pulse)社といったプロバイダーが月額8ポンド(約1470円)弱のサブスクリプション・サービスを展開しており、9000台の充電器で割引が適用されるほか、一部のAC充電器を無料で利用できる。
利用にはスマートフォンアプリが必要だが(一部の古い機種にはRFIDカードが必要)、50kWと150kWのDC急速充電器では1kWhあたり63ペンス(約115円)、7kWのAC充電器では1kWhあたり44ペンス(約81円)が課金される。また、多くの充電器が非接触型クレジットカードによる従量課金で利用可能で、その場合、AC充電器は1kWhあたり59ペンス(約108円)、DC急速充電器は1kWhあたり79ペンス(約145円)となる。
一部のホテルやショッピングセンターでは、利用客に充電器を無料開放している。
英国では各プロバイダーのスマートフォンアプリが普及しているため、充電器の場所と利用料金を確認し、自分のニーズと予算に合った充電器を簡単に探すことができる。
また、多くの自動車メーカーが独自の充電プランを提供している。例えば、アウディのeトロン・チャージング・サービスでは、20社近くのプロバイダーを利用できるほか、すべての新車EVに最初の1600km分の充電クーポンが付属している。