英国の充電事情 EVを「満タン」にするといくらかかる? 集合住宅でも充電できるのか
公開 : 2023.11.04 18:25
テスラ・スーパーチャージャー
テスラのオーナーは、専用の急速充電ネットワーク「スーパーチャージャー」に加え、ホテルなどに設置された充電器「デスティネーション」も利用できる。2017年以前に登録されたモデルSとモデルXは無料充電の対象となり、2022年12月15日から2023年1月12日の間に購入した一部のオーナーは、約9600km分の充電が無料となる。
それ以外のテスラオーナーは有料となる。夜間のオフピーク時は49ペンス(約90円)、オンピーク時は59ペソ(約108円)である。テスラはまた、バッテリーが満充電になっても駐車したままにしておくと、他のユーザーが素早く利用できるよう「アイドル料金」を設定している。スーパーチャージャー・ステーションが50%以上埋まっている場合、満充電の状態で駐車していると1分ごとに50ペンス(約92円)、100%埋まっている場合は1ペンス(約183円)になる。
テスラは、英国のスーパーチャージャーの一部を他社製EVでも利用できるように開放している。また、2023年8月30日、欧州スーパーチャージャー・ネットワーク構築10周年を記念して、当日限定で英国内のすべての充電器をすべて無料開放した。
アパートに住んでいても充電できる?
アパートやマンションなど集合住宅に住んでいて、家庭用のウォールボックスを利用できない場合でも、EVを充電する方法はある。英国では最近、街灯に付属する充電器が増えてきているのだ。石油会社シェルの支援を受けているユビトリシティ(Ubitricity)社は、英国最大の7000台の街頭充電器を展開している。
出力は約5.5kWで、高速というわけではないが、日中は1kWhあたり40ペンス(約73円)、深夜から午前7時までは37ペンス(約68円)となっている。利用するには35ペンス(約64円)の接続料と、フル充電には25ポンド(約4590円)の事前認可料がかかる。
高速道路の充電料金は高い?
高速道路のサービスステーションで充電する場合、料金は少し高くなるが、その主な理由は急速充電器が多く設置されているためだ。最近までエコトリシティ(Ecotricity)社のみがプロバイダーとして参入し、約300台の充電器を展開していたが、現在はイオニティ(Ionity)社など他社も加わっている。
エコトリシティ社は2021年、自社の充電ネットワークをグリッドサーブ(Gridserve)社に売却した。グリッドサーブ社は充電器をアップグレードし、350kWの急速充電器の増設に取り組んでいる。現在、ACとDCの両方の充電器があり、いずれも最大使用時間は45分。22kWのAC充電器の利用料金は、1kWhあたり49ペンス(約90円)である。
DC急速充電器は120kW、180kW、350kWに対応し、従量課金制で利用できる。グリッドサーブ社は最近料金を改定し、すべてのDC充電の利用料金を1kWhあたり69ペンス(約127円)に統一したが、事前認可料はわずか1ポンドに引き下げられた。ただし、一部の施設では35ポンド(約6400円)となっている。
ライバルのイオニティ社は、1kWhあたり74ペンス(約136円)とやや高めだが、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、ジャガーといった自動車メーカーとの提携により、対象車種で割引が適用される。さらに、すべての充電器が最大350kWの急速充電に対応している。