10月の「軽」販売、ダイハツが首位 新型Nボックス投入のホンダは35%増

公開 : 2023.11.02 06:45  更新 : 2023.11.08 01:05

10月の新車販売レポート。軽はタントが好調の「ダイハツ」がトップ。次期スペーシアの発表を控えるスズキ、新型Nボックスを発売したばかりのホンダが続きます。

ダイハツ 唯一の5万台超えに

部品や材料の供給不足が徐々に軽減し、生産体制が回復基調に乗りつつある日本の自動車メーカー。2023年10月の新車販売は、その傾向が数値となって表れた。

10月の軽自動車の新車販売台数は、同4.7%増の15万4528台と3か月連続でのプラス。

タント(写真)が好調なダイハツが、2023年10月の軽・新車販売の首位に。10月発売の新型ホンダNボックスの詳しい実績は、11月7日に明らかになる。
タント(写真)が好調なダイハツが、2023年10月の軽・新車販売の首位に。10月発売の新型ホンダNボックスの詳しい実績は、11月7日に明らかになる。    宮澤佳久

一方、登録車の新車販売台数は、前年同月比14.9%増の24万3144台と10か月連続でのプラスを達成する。

結果として、トータルでの10月の国内新車販売台数は同10.7%増の39万7672台と、14か月連続での前年実績超えを成し遂げた(全軽自協/自販連調べ)。

軽自動車の10月のブランド別新車販売台数は、前年同月比で5.9%減のマイナスだったものの5万2479台を販売したダイハツが、3か月連続でのシェアトップに就く。

最大のライバルのスズキは同0.2%減の4万4992台にとどまって、第2位に甘んじた。

一方でホンダは新型に切り替わったNボックスの効果もあって同35.2%増を達成。3月以来の3万台超えとなる3万327台を記録した。

また、デリカ・ミニの販売が堅調な三菱自は同66.5%増(5759台)とプラスを継続。対して新車効果に一服感が出た日産は、同1.3%減(1万4136台)とマイナスに転じる。

そして、OEM供給を受けるブランドではマツダが同16.2%増(3164台)、トヨタが同19.8%増(2432台)と前年実績超えを果たしたものの、スバルは同30.1%減(1225台)と前年実績を大きく下回った。

懸念は、円安/パレスチナ情勢

登録車の10月のブランド別新車販売台数では、新車効果に一服感が出たマツダが前年同月比6.9%減(1万1697台)、ダイハツが同30.8%減(2469台)と前年実績割れを記録。

一方、トヨタは同14.4%増(12万4366台)、ホンダは同37.0%増(2万7343台)、日産は同17.0%増(2万1803台)、スズキは同4.5%増(9493台)、スバルは同22.2%増(8810台)、レクサスは同140.1%増(7179台)、三菱自は同31.1%増(3543台)と前年実績超えを果たす。

軽・登録車ともに30%を超えるプラスを記録したホンダ。Nボックスの好調は目立つが、収益性の高いモデルの実績をさらに伸ばしたいところ。写真はシビックがベースのSUV「ZR-V」だ。
軽・登録車ともに30%を超えるプラスを記録したホンダ。Nボックスの好調は目立つが、収益性の高いモデルの実績をさらに伸ばしたいところ。写真はシビックがベースのSUV「ZR-V」だ。    宮澤佳久

また、貨物車のブランドでは新型エルフの販売が好調ないすゞが同29.3%増(4170台)、三菱ふそうが同38.7%増(3083台)とプラスを継続。対して日野は同5.3%減(1913台)、UDトラックスは同13.4%減(798台)とマイナスが続いた。

10月の新車販売の傾向について業界団体の関係者は、「前年10月の新車販売台数が35万9159台と低迷していたこともあり、本年9月は10.7%の2ケタ増を達成した。トヨタグループの取引先で、ばねメーカーの中央発條の生産設備が10月16日に爆発事故を起こし、この関係でトヨタグループの9か所の工場で生産ラインの一時稼働停止が発生したものの、早々に復旧したことから販売への影響は少なくて済んだようだ。ただし、新型コロナウイルス感染拡大前の40万台レベルにはまだ及んでいない。材料および部品の供給不足は緩和しつつあるが、現状の受注残に対応するだけの生産体制の実現は、まだ未達成の状況にある」と指摘する。

今後の展開については、「新車の需要は新型車を中心に堅調で、また年末商戦に向けて新型車や特別仕様車が各メーカーから精力的に発売される予定。さらに、前年同期の新車販売台数が低調に推移していたことから、来月以降も前年実績を超える可能性が高い」と分析。

また、「生産調整はこれからも一部で続くと予想されるが、各メーカーが部品の供給状況を見極めながら関係仕入れ先と連携するなど様々な対策をとっており、販売台数の回復傾向は今後も続くと見込まれる。一方で懸念材料としては、依然として世界規模で続く部品の供給不安定や材料価格の高止まり、さらに円安の加速などが挙げられる。物価高や国民負担率の上昇、そして実質賃金の下落などで消費を控える傾向が一部で出てきていることも、自動車販売の面でマイナス要素。イスラエルとパレスチナの武力衝突によって、今後原油価格に影響が出るかどうかも気になるところ」と解説した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大貫直次郎

    Naojiro Onuki

    1966年型。早稲田大学卒業後、自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、フリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)などのほか、レストア待ちの不動バイク数台。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』シリーズなど。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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