疑う余地はない本格派 新型フォード・ブロンコへ試乗 最大のライバルはラングラー
公開 : 2023.11.12 19:05
扱いやすさや回頭性はフォードらしい強み
インテリアは、期待通りタフなデザインでまとめられている。運転姿勢は背もたれが起き気味で、ボンネットの先端が見える。両脇のグラブハンドルが、本格的なオフローダーに乗っている気分を高める。
これは、ルーフへ載せたカヤックの先端をロープで固定したり、林間を走る際に枝がフロントガラスへ当たらないようにするワイヤー、リムライザーを取り付けるためのもの。ボディサイズも把握しやすい。アドベンチャーには必要なアイテムだ。
人間工学的にも優れている。エアコンとオーディオには、手袋をしていても操作しやすそうな大きなボタンやノブが用意されている。ゴムでコーティングされ質感も良い。
ダッシュボードの中央には、控えめなサイズのタッチモニターが埋め込まれている。メーターパネルもモニター式で、表示内容を選択できる。
フロントシート側の空間は充分ゆとりがあり、天井も高い。ドアパネルにはネット張りのポケットが用意され、悪路を走っても小物が暴れるのを防いでいる。
確認はこのくらいにして、早速発進。4気筒ターボエンジンは、穏やかに目覚め、アクセルペダルへ正確に反応する。クリープ走行も安定しており、エンジンブレーキも良く効く。悪路で有用といえるが、渋滞した市街地でも扱いやすい。
乗り心地は全体的に角が取れているが、フラットというわけではない。ステアリングホイールは、重すぎず軽すぎず好印象。自然な回頭性で、反応はダイレクトで、フォードらしい強みが表れている。
走破性に疑う余地はない本格派
ドライブモードも複数用意されている。ブロンコの場合、GOAT(ゴート)と名付けられているが、「Goes Over Any Terrain(どんな地形も走破する)」というフレーズの略らしい。シロイワヤギを示す単語でもある。
走行時の洗練度はほどほど。試乗車はソフトトップだったが、高速道路では若干心もとなく、橋桁の継ぎ目などでボディが振動する仕草も見られた。ハードトップの方が安心感が高く、快適だとは思う。
とはいえ、上質で現代的なオフローダーをお考えなら、ランドローバー・ディフェンダーやトヨタ・ランドクルーザーを検討された方が賢明だろう。本質的に、欧州や日本の環境を前提としたモデルではない。
無論、走破性に疑う余地はない。本格派らしく、渡河水深は850mmもある。ボディと路面が接する角度は、フロントのアプローチアングルで35.5度。ブレークオーバーとディパーチャーのアングルは20.0度と29.7度で、こちらも充分以上だ。
グレートブリテン島でブロンコを楽しむには、車検を受けて合法化する必要があり、小さくない手間がかかる。かくして英国での価格は、2年の補保証付きで4万5000ポンド(約814万円)から8万5000ポンド(約1538万円)なり。
ラングラー・アンリミテッドより高いことは事実。ルビコンを選べば6万ポンド(約1086万円)を超えるとはいえ、ディフェンダーに並ぶ金額でもあると考えると、価格的な競争力が高いとはいえない。
もっとも、ブロンコは趣味の延長のようなオフローダーだ。選ばれる際、合理性が理由になることはないだろう。
フォード・ブロンコ 2.3エコブースト・アウターバンクス(英国仕様)のスペック
英国価格:7万5000ポンド(約1357万円/試乗車)
全長:4811mm
全幅:1937mm
全高:1962mm
最高速度:193km/h(予想)
0-100km/h加速:8.0秒(予想)
燃費:9.9km/L(予想)
CO2排出量:−g/km
車両重量:2045kg
パワートレイン:直列4気筒2261cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:273ps/5500rpm
最大トルク:42.6kg-m/3500rpm
ギアボックス:10速オートマティック(四輪駆動)