部品届かず5000台が修理待ち 中古部品で対応も 英国、JLRトップが謝罪の意

公開 : 2023.11.04 18:05

・英国では部品供給の遅れによって数千台の修理が滞る事態に。
・JLRのトップは「不本意」として謝罪を表明。問題解消を急ぐ。
・英国内の一部ディーラーでは中古部品で対応するも…。

物流拠点でトラブル 英国で部品不足に

英国の自動車メーカーであるJLR(ジャガーランドローバー)は11月2日、部品の供給遅れにより英国内で故障車の修理対応が進んでいないことについて謝罪の意を表明した。

JLRのエイドリアン・マーデルCEOは、英レスターシャーに新設した部品物流ハブ「マーシア・パーク」で遅延が生じ、国内で数千台の修理が滞っていることについて、「大変不本意なこと」と述べた。JLRは国内の部品供給網を縮小し、18の倉庫をマーシア・パークに集約している。

英国でJLRの部品供給に遅れが生じている。
英国でJLRの部品供給に遅れが生じている。

英国の『カー・ディーラー・マガジン』誌が最初に報じたところによると、マーシア・パークでの遅れのためにディーラーが交換部品を調達できず、英国各地で約1万台が修理待ちの状態にあるという。その後のAUTOCARの取材で、ディーラーは中古部品を使用するよう勧告されていることが明らかになった。

マーデルCEOは取材に対し、部品遅れにより「アフターサービスのパフォーマンスに悪影響が出ている」ことを認め、今後数か月以内に解決することが最優先事項であると述べた。

「(供給網の)移行は計画的なものでしたが、当初の計画よりも時間がかかっています。誤解のないようにお伝えしておきたいのは、これは誰も望んでいないということであり、ここで一緒に仕事をしているパートナーとの組織として、わたし達にはこの変化に対する責任があります」

「わたし達は謝罪しなければなりません」

「大変不本意なことであり、車両盗難の件と同様、この組織のトップ、そしてパートナー企業(ユニパート・ロジスティクス社)のトップに関わることでもあります」

マーデルCEOは、問題解決に向けてユニパート・ロジスティクス社と定期的に連絡を取り合っているとした。

また、10月には、マーシア・パークが稼動して以来初めて、ディーラーへの出荷待ち部品の数が減少したという。マーデルCEOは英国で約1万台のJLR車が部品を待っているという報道内容を認めつつ、その数字は減少し、今日の集計では5000台以下になっていると述べた。

「かなり大きな進歩を遂げていますが、はっきり言って、まだ終わっていません。現実的には今四半期ではなく、来四半期になる可能性が高いです」

「我慢の限界」とクルマ手放すオーナーも

JLRの部品供給遅れに対し、英国のユーザーからは不満の声が挙がっている。

遅れの原因が新設されたマーシア・パークにあることは、10月にJLRのクライアント・ディレクターであるアンドリュー・ウーリスクロフト氏によって明らかにされた。

英レスターシャーに新設された部品物流ハブ「マーシア・パーク」
英レスターシャーに新設された部品物流ハブ「マーシア・パーク」

「マーシアがボトルネックになっており、注文が滞っている」とウーリスクロフト氏は述べ、部品不足のため「ワークショップ(整備工場)の営業はほとんどストップしている」とした。

ウーリスクロフト氏によると、JLRは代車も、修理のために顧客のクルマを保管するスペースも使い果たしており、こうした状況は11月末まで続くと予測されるという。

部品遅れに直面したオーナーの1人、ボブ・アーシェルさんは、自身のレンジローバー・スポーツP400eが4月にワイヤーハーネスの不良と診断されたと話す。

「ランドローバーに何度も電話をかけていたので、わたしはもう我慢の限界だったんだと思います」とアーシェルさん。9月にようやく新しい交換品が届いたが、その時にはすでにクルマを手放していたそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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