最初から「プレリュード」の名が与えられていたわけではなかった? ホンダに直撃

公開 : 2023.11.06 20:25

ジャパン・モビリティショー2023のホンダブースに「プレリュード・コンセプト」が突如展示されました。2001年に販売終了しながら、何故今コンセプトカーに、再び「プレリュード」の名を与えるに至ったのでしょうか。

はじめから「プレリュード」の名があったわけではない

ジャパン・モビリティショー2023」のホンダ・ブースに美しいスタイリングのコンセプト・クーペが展示された。その名は「プレリュード・コンセプト」

ホンダのラインナップから「プレリュード」がフェードアウトして22年。なぜ今「プレリュード」の名を復活させたのか? 開発責任者である、ホンダ四輪事業部 四輪開発センターLPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)室の山上智行LPL/チーフエンジニアに話を伺った。

ホンダ・プレリュード・コンセプト
ホンダ・プレリュード・コンセプト    AUTOCAR JAPAN編集部

2040年までにEV(電気自動車)とFCEV(燃料電池自動車)の販売比率をグローバルで100%にすることを目指しているホンダ。そこまでのプロセスにおいて、ホンダのスポーツマインドを具現化したスペシャリティとフラッグシップ、2つのスポーツEVをグローバルに投入するとアナウンスしていた。

そのスペシャリティ版が、このプレリュード・コンセプトというわけだ。ホンダにはプレリュードという車名に思い入れがある人は多い。だが、このクルマに最初から「プレリュード」の名前が与えられていたわけではない。開発の経緯から、この車名が思い浮かび、採用されることになったようだ。

このプレリュード・コンセプト、じつはEVではない。2020年代なかばに市販を目指して開発中の、HEV(ハイブリッド車)なのだ。プレリュード(PRELUDE)とは、英語で「前奏曲」や「先駆け」を意味する。つまり、ホンダの本格的な電動化という一大コンサートが始まる前の、まさに前奏曲として登場するこのクルマには「プレリュード」という名がふさわしいのではないかとなり、多くの人の賛同を得て決定したようだ。

ちなみに、山上氏は現行型シビックの開発責任者でもある。今回のプレリュード・コンセプトはHEVであるということ以外、外寸をはじめスペックは一切公開されていないが、シビックをベースに開発が進められていることは十分に考えられる。となると、パワートレインはe:HEVで、駆動方式はFFということになるだろう。

コンセプトは「グライダー・アンリミテッド」

デザインを担当した、オートモービルデザイン開発室 プロダクトデザインスタジオ・アシスタントチーフエンジニア・デザイナーの大沼紀人氏にも話を伺った。

コンセプトは「グライダー・アンリミテッド」軽やかに、伸びやかに、しかもキビキビと大空を飛翔するグライダーをイメージしたスタイル。ボディ全体の面構成もシンプル。かつてのプレリュードと相通じるものを感じる。

ホンダ・プレリュード・コンセプト
ホンダ・プレリュード・コンセプト    AUTOCAR JAPAN編集部

また、歴代のプレリュードは2ドアのノッチバッククーペだったが、このプレリュード・コンセプトはテールゲートを備えるファストバッククーペだ。リアシートにプラス2以上の居住性を与え、またデートカーとしてラゲッジスペースを有効に使うという狙いもあるようだ。

特殊なホワイト(詳細は非公開)のボディカラー/スタイルをよりワイドに見せる効果がある一文字のシグネチャー/リアコンビネーションランプ/グラマラスなリアフェンダー/ブレンボのブレーキ/フロントフェンダー後ろのエアアウトレットなど、スペシャリティでありながらスポーツ心も忘れてはいない。

今回、インテリアは非公開。展示車がモックアップだったこともあるが、ほぼ完成しているという。発売予定の2020年代なかばは、もうすぐ。復活したプレリュードが、ホンダの本格的な電動化を盛り上げる「前奏曲」となることに期待したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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