大型SUVへドンピシャのV6ディーゼル フォルクスワーゲン・トゥアレグへ試乗 価格帯は上昇
公開 : 2023.11.13 19:05
大型SUVへドンピシャの3.0L V6ディーゼル
車内空間は前後とも広々。荷室も広い。パノラミック・ガラスルーフが装備され、特別感を引き上げていた。
運転姿勢は乗用車へ近い。シートやステアリングホイールの調整域が広く、快適なポジションを探しやすい。死角を考えると、座面は高めの方が良いだろう。
試乗車の3.0L V6ディーゼルターボエンジンは、大きなSUVへドンピシャ。61.0kg-mと余裕のあるトルクで、充分以上の力強さを叶えている。
低速域ではディーゼルらしい唸りが聞こえてくるものの、幹線道路へ入れば気にならなくなる。8速ATは基本的に滑らかで、市街地の移動も快適。だが、強めにアクセルペダルを傾けると、適したギアを選ぶのに迷うことがあった。
ドライブモードをスポーツへ切り替えると、活発さが増す。ノーマル・モードの方が、全般的には快適に思えた。
高速道路の速度域でも、車内は静か。舗装が古い区間では、21インチ・タイヤのノイズが増すが、上質さを損なうほどではないだろう。
上級なブラックエディション・グレードの試乗車の場合、セルフレベリングと車高調整に対応したエアサスが標準。路面の凹凸をしなやかにいなし、落ち着いた乗り心地を提供していた。
ホイールが21インチと大きく、エアスプリングにありがちな跳ねるような振る舞いも感取されたが、舗装の剥がれた穴などは平然と対処。ボディロールも小さく、高めの全高でも安心感は高い。
後輪操舵システムの反応は自然。ゴルフへ匹敵するほど小回りも利く。
悪路性能も高評価 求める内容は不足なく満たす
不整地での能力も高く評価できる。ランドローバー・ディスカバリーなど、本気のオフローダーには及ばないとしても、現実環境で動けなくなることは稀だろう。
短い悪路を走らせてみたが、オフロード・モードが効果を発揮。ローレンジ・ギアやロックデフは備わらなくても、問題なく走破してみせた。エアスプリングで車高を高めれば、起伏の激しい区間もお構いなしだ。
燃費は、郊外の流れの速い区間や市街地を交えて、平均で10.9km/L。高速道路を中心に走れば、12.0km/Lくらいは得られるだろう。
かつてのトゥアレグは、アウディやBMWと比べて価格価値に優れるとみなされてきたが、最近はそうともいえなくなった。試乗車の、ブラックエディションの3.0TDIは、7万2665ポンド(約1315万円)に達していた。
これは、BMW X5だけでなく、アウディQ7も選べる価格帯になる。ベースグレードのポルシェ・カイエンすら検討できる。
また、フォルクスワーゲンらしい機能的で落ち着いたデザインと、高級車らしい豪華な雰囲気を両立させることは、少し難しい課題かもしれない。価格に相応しい魅力までは、感じにくいだろう。
それでも、車内は広く洗練され、インフォテインメント用の大画面も現代的な印象を演出している。オフロードにも問題なく対応でき、大型SUVへ求められる内容は不足なく満たしているといえる。
フォルクスワーゲン・トゥアレグ・ブラックエディション 3.0TDI 4モーション(英国仕様)のスペック
英国価格:7万2665ポンド(約1315万円)
全長:4902mm
全幅:1984mm
全高:1695mm
最高速度:236km/h
0-100km/h加速:6.4秒
燃費:12.2km/L
CO2排出量:215g/km
車両重量:2118kg
パワートレイン:V型6気筒2967cc ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:286ps
最大トルク:61.0kg-m
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)