「こういうのでいいのかも」 飛躍しすぎない進化 VW傘下のスコダ、新型フラッグシップモデル初公開

公開 : 2023.11.07 06:05

1.5Lガソリンから2.0Lディーゼル、PHEVまで

パワートレインはガソリン、ディーゼル、PHEVと幅広く用意されている。

ガソリンエンジンは、48Vマイルドハイブリッド付きの1.5L(最高出力150ps)と、電動アシストなしの2.0L(204psと265ps、後者は四輪駆動)を設定。

スコダ・スパーブ
スコダ・スパーブ    スコダ

ディーゼルエンジンは2.0Lで、150psの前輪駆動と193psの四輪駆動を設定し、いずれも電動アシストなしとなる。

PHEVは、1.5Lガソリンに電気モーター1基を組み合わせ、合計出力204psの前輪駆動方式を採用。容量25.7kWhのバッテリーパックは最大50kWの急速充電に対応し、25分で10~80%の充電ができるという。EVモードでの航続距離は100kmとされる。PHEVはステーションワゴンでのみ選択可能だ。

英国人記者の視点「従来型の発想も悪くない」

フォード・モンデオ、オペル・インシグニア、ボルボS90、マツダ6……ミドルサイズの上級モデルは近年大打撃を受けており、かつて栄華を誇ったベストセラー車たちも、いまは直接の後継車がいない。かつてセールスマンの足として活躍したフォルクスワーゲンパサートでさえ、埃をかぶっている。

だからこそ、競合他社が背を向ける中、新型を発表しただけでなく、人気の秘訣となったレシピを守り続けたスコダに拍手を送りたい。2015年の発売以来、現行車が84万5000台も売れているのは小さな驚きだ。

スパーブの歴史は戦前に遡るが、現代的なバージョン(左から2台目)が登場したのは2001年のこと。
スパーブの歴史は戦前に遡るが、現代的なバージョン(左から2台目)が登場したのは2001年のこと。    スコダ

第4世代スパーブは、スタイリングの面でも、技術的な面でも全面的に刷新された。しかし、そこにあるのは安心できる親しみやすさだ。たしかに、洗練された新しいデジタル・インターフェイス、環境に配慮した内装オプション、初期のEVよりも電気航続距離の長いPHEVがある。

しかし、その一方で、物理的なボタンがたくさんあり、トランクはアマゾンの倉庫ほどの大きさがあり、電動アシストなしのディーゼルエンジンが2種類選べる。

新しいブランド、テクノロジー、セグメントの出現によって自動車市場が大きく揺れ動く中、従来型の発想のクルマが生き残ることは、決して悪いことではないはずだ。

(AUTOCAR英国編集部フェリックス・ペイジ記者)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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