プジョー208 アリュールGT

公開 : 2012.12.26 16:05  更新 : 2017.05.29 19:01

マニュアル変速だからクラッチペダルを踏んでいないかぎりクラッチは直結なのだけど、ナンというかラバーバンドフィールがある。ゴムひも感。右足の踏み込みに対するエンジンのレスポンスに。それで別にオソくはないしトルクがホソくて困るわけでもないけれど、どうも、ノ〜ンビリ調。

全力加速のタイムを計測したらアレだろうけれど、体感上はむしろ1.7tとの組み合わせのほうが動力性能がハキハキしている。ひょっとして、クルマが(というかエンジンに対する負荷が)軽すぎていけないのかもしれない。過給エンジンということで。街中ではなく高速道路(その他、常に負荷高めでエンジンを使える状況)でナンボの仕様ではないか。これはどうも。

マニュアル変速と組み合わされるエンジンその2、小さいほう。1.2ℓガソリン3気筒自然吸気。車検証によると前後軸重はそれぞれ660kgと410kg。合計1070kgは、1.6ℓターボより130kgも軽い。もっというと、そのうち120kgが前軸のマイナスぶん。1070kgというのはたとえばN BOX+の自然吸気エンジン搭載モデルと較べると20kg増で、それに対してエンジン排気量は同じく2倍弱。

たしかに軽いといえば軽い。エンジン的にも1.6ℓターボよりこちらのほうが。というのは、わざわざマニュアル変速で乗る価値があるっぽい。絶対的には少し(少なくとも街なかをフツーに運転しているかぎり「ものすごく」では決してない)オソくても、楽しくやりとりしている実感がより明瞭。チンクエチェントのツインエアほどではないけれど、笑いがある感じ。強めの負荷を与えた際の加速は、2500rpmあたりから活気を帯びてくる。ほほー。黙って乗ったら(少なくともリポーターは)3気筒とは気がつかない振動特性は、これはバランサーシャフトの効果?

けれどというかやはりというか、印象としてそれよりも支配的なのはナンというか糠に釘っぽい操縦感覚。アクセルペダルやクラッチペダル関係の。ターボのほうと同じく。変速のたびに戻したり踏んだりしなくてOKのオートマ版だと特に気にならないそれが、マニュアル変速だと……ってこっちが本来の姿なのだけど。

同じ3気筒のガソリン自然吸気で較べると、UP!のエンジンのほうが下(=常用域のトルクの強さ)はある印象。UP!のほうが150kgかもっとクルマが軽いというのはあるけれど、排気量でいったら逆にプジョーの3気筒のほうが約2割大きい。んー。あと1.6ℓターボのほうに関しては、これはMINIにおけるクーパーS的な乗りアジをもった208ではありません。そういうものとしてはGTiを、ということでしょう。

(文・森 慶太 写真・花村英典)

プジョー208 アリュール/GT

価格 199.0万/258.0万円
0-100km/h 14.0/8.1秒
最高速度 175/215km/h
燃費 22.2/17.2km/ℓ
CO₂排出量 104/135g/km
車両重量 1070/1200kg
エンジン形式 直3DOHC, 1199cc/直4DOHCターボ, 1598cc
エンジン配置 フロント横置き
駆動方式 前輪駆動
最高出力 82ps/5750rpm
最大最大トルク 12.0kg-m/2750rpm
馬力荷重比 76.6/130ps
比出力 68.4/97.6ps/ℓ
圧縮比 11.0:1
変速機 5段M/T / 6段M/T
全長 3960mm
全幅 1740mm
全高 1470mm
ホイールベース 2540mm
燃料タンク容量 50ℓ
荷室容量 285-1076ℓ
サスペンション (前)マクファーソン・ストラット
(後)トーションビーム
ブレーキ (前)φ266mmVディスク
(後)φ203mmドラム
タイヤ 195/55R16&205/45R17

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