1991年の東京モーターショー 躍進する日本 豊かで安全な未来を描いた「理想的」なクルマたち

公開 : 2023.11.09 18:05

・32年前の今頃に開催された、1991年の東京モーターショーを振り返る。
・主要メーカー各社の奇抜で興味深いコンセプトカーを一部抜粋して紹介。
・高級、エコ、安全、スポーティ……それぞれの「理想」がカタチに。

ホンダ

1980年代後半、日本はバブル経済に沸いた。資産と株価は高騰し、中産階級は豊かになった。

国内の自動車産業は、1990年には年間生産台数1350万台(2022年より580万台多い)を記録するまでに成長した。これにより、莫大な予算が新技術の開発に流れ、さまざまなアイデアが具現化していった。

ホンダFS-X
ホンダFS-X

今回は1991年の東京モーターショーを振り返り、奇妙で興味深いコンセプトカーをいくつか見てみよう。

ホンダは、FS-Xというコンセプトカーを披露した。大型でスポーティなアメリカンスタイルのセダンで、非常に効率的な3.5L V6エンジンを搭載している。

また、通勤用の小型車としてEP-Xというコンセプトも登場。アルミボディに最高出力70psのVTECエンジンを搭載した、タンデムシートの奇抜なモデルだったが、その評判は熱狂的なものだった。

マツダ

マツダでは、新型ロータリースポーツカーRX-7(第3世代)に加え、626種類のバリエーション(マツダは勇敢にも4つのブランドを新たに立ち上げていた)が乱立した。コンセプトカーとしては、4人乗りのオフロード車M2 1009や、水素を燃料とするツインローターエンジンを積んだ、魚のように丸っこいHR-Xがあった。

マツダHR-X
マツダHR-X

スズキ

スズキは、1300ccのエンジンをミドマウントしたスポーツクーペのコンセプトカー、スプライを発表したほか、カプチーノでも注目を集めた。カプチーノは660ccの3気筒エンジンを搭載し、最高出力はわずか64psだが、車重はわずか725kgしかなかった。日本国内にとどまらず、英国でも高い人気を誇った。

スズキ・カプチーノ
スズキ・カプチーノ

ダイハツ

ダイハツもマツダ・ロードスターを追撃しようと、アルミスペースフレーム、コンポジットボディ、レース由来のサスペンション、最高出力140psの1.6L 4気筒エンジンをフロントに搭載し、後輪駆動を採用した可愛らしいX-021を発表した。残念ながら、市販化されることはなかった。

それから、ミラをベースとするミラ・ミラーノという半円形の背の高いコンセプトも披露。ミラ・ウォークスルーバンやミラ・ミチートに続く個性的なモデルで、市販化には至らなかったものの「とっても陽気でイタリアン」な「かわいい目立ちたがり屋」と紹介された。

ダイハツX-021
ダイハツX-021

日産

日産も小型スポーツカーを用意しており、市販化に意欲的だった。デュアドと呼ばれるこのモデルは、エンジンがドライバーの真横にあり、そのため左右のフロントシートが38cmもオフセット配置されていた。もし実現していたら、歴史に残る名車(あるいは珍車)となっただろう。

もう少し現実的なのは、広々としていながら非常にスタイリッシュな6人乗りミニバンのコクーンと、ニッケルカドミウム電池をわずか15分で80%まで充電でき、航続距離250kmを達成するという電動クーペのFEVだ。

日産コクーン
日産コクーン

また、発売に至ったモデルとしては、レパードJ.フェリーというキャッチーな名前のセダンがあり、3.0L V6または4.2L V8を搭載。そのユニークなスタイリングは特に海外で高い評価を受け、レパードの系譜は新しい高級車ブランドであるインフィニティに移行することになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事