巨大バッテリーを丸ごと交換 技術は高度でも特徴は薄い ニオEL6 ロングレンジへ試乗
公開 : 2023.11.24 19:05
中国の新興メーカーが欧州へ本格参入 駆動用バッテリーの交換サービスも展開 不満ない走りでもクルマの特徴は薄い 英国編集部が評価
もくじ
ー満充電のバッテリーパックと交換可能
ーインテリアの知覚品質はテスラより上
ー平均的なドライバーが不満を抱かない走り
ー技術水準は感心するほど高い 薄い特徴
ーニオEL6 ロングレンジ(欧州仕様)のスペック
満充電のバッテリーパックと交換可能
ニオEL6は、デンマークやドイツ、ノルウェー、スウェーデンなどで販売が始まっている。2024年中には、グレートブリテン島でも購入できるようになるだろう。中国の新興メーカーは、勢いを増す一方だ。
まずは見た目から。スタイリングは、コンピューターのマウスのようなテスラ・モデルYと対照的。フロントマスクには、最近のヒョンデのような雰囲気もある。落ち着いていて、洗練されている。
フロントガラスの上部には、運転支援システム用カメラの膨らみがある。タクシーの行灯ではない。
ボディサイズは、全長4854mm、全幅1995mm、全高1703mmで、モデルYよりひと回り大きい。プラットフォームは同社のNT2.0と呼ばれるもので、75kWhか100kWhの駆動用バッテリーがフロア部分に並ぶ。航続距離は、405kmか529kmがうたわれる。
急速充電能力は、75kWhのバッテリーで140kWまで。100kWh版では180kWまで対応する。高速な部類ではないものの、平均的な速さといえる。
ニオのバッテリーEVで注目すべき点が、特許を取得した駆動用バッテリーの交換システム。専用のサービス拠点へEL6を持ち込むと、約5分で満充電のバッテリーパックと交換してもらえる。
これから欧州全土へ、120か所のサービス拠点を設ける計画だという。グレートブリテン島にも設置されるようだが、英国の法規が何らかの妨げになるような気がする。
ちなみに、駆動用バッテリーの交換は、リース契約の場合のみ対応する。車両を購入したユーザーはバッテリーも所有することになり、利用できないそうだ。
インテリアの知覚品質はテスラより上
EL6は四輪駆動で、フロントに201psの誘導非同期モーターが、リアに286psの永久磁石同期モーターが載る。システム総合での最高出力は、490psと不足ない。アダプティブダンパーは標準装備だ。
インテリアはソリッドだが淡白。内装素材の質感は低くない。モデルYより、知覚品質は高いように感じる。
ダッシュボードの中央には、小さなロボットアシスタント、「ノーミ」が運転をサポートしてくれる。ドライバーが乗り込んだり、音声で指示を出すと、回転して目線を合わせてくる。時々、ウインクやリンゴを食べる仕草もする。
可愛いと感じる人もいれば、余計だと思う人もいるだろう。読者のご感想は?
フロントシートは座り心地が良く、調整域も広い。実際に押せるハードボタンはほぼなく、中央の大きなタッチモニターと、ドライバー正面のメーター用モニター、ヘッドアップ・ディスプレイが標準装備となる。
タッチモニターの反応は素早く、エアコンの操作メニューが下端に常時表示される。アップル・カープレイとアンドロイド・オートには非対応だが、需要次第では実装予定もあるという。
リアシート側もゆとりがあり、身長の高い大人でも快適。荷室容量は668Lと大きいが、その大部分はフロア下の収納になっている。テールゲートを開いた時の印象は、さほど広くない。オプションで、7シーターも指定できる。