もっと走りを磨き込めた アウディQ8 50TDI ライフ中期の小変更 シャシーはそのまま

公開 : 2023.11.20 19:05

アウディのフラッグシップSUV、Q8が中期のアップデート 内容はスタイリングが中心 存在感は変わらず 走りはもっと磨き込めた 英国編集部が評価

堅調に売れてきたQ8がアップデート

BMW X6の好敵手、2018年に発表されたアウディQ8がアップデートを受けた。内容は比較的小さなものに留まるが、これまでの堅調な働きぶりを見れば、不思議ではない。

アウディQ7に並ぶ豪華さを備え、洗練され力強い動的能力を披露し、優れた使い勝手をシャープなスタイリングで叶えてきた。僅かに引き上げられたコーナリング性能も、魅力となってきた。

アウディQ8 50TDI クワトロ Sライン(欧州仕様)
アウディQ8 50TDI クワトロ Sライン(欧州仕様)

欧州市場では、Q7とQ8の販売割合は概ね2:1。売れ行きも悪くなく、あえて大きな手を加える必要はなかったといえる。実際、シャシーやパワートレインに関わる更新はないようだ。

スタイリングの手直しは、主にフロント周りが中心。大きな8角形のフロントグリルのデザインが改められ、バンパー両脇のグリルは高さ方向に拡大され、好戦的な表情を作っている。

ヘッドライトは、マトリックスLEDへ更新。トップグレードのフォアシュプルングの場合、レーザーライトも備わる。デイタイムライトは、インフォテインメント用タッチモニターから、4種類の点灯パターンを選べる。

テールライトも新しくなっている。アルミホイールは、21インチから23インチまで、4種類の新デザインが追加された。ボディ塗装の選択肢も増えている。

豪華な雰囲気に満ちたインテリア

パワートレインは、286psを発揮するV6ディーゼルターボと、339psのV6ガソリンターボが選択可能。今回の試乗車は、前者の50TDIだった。また、2024年にアップデートを受けて登場するSQ8には、507psの4.0L V8ガソリンツインターボが搭載される。

同じ年には、プラグイン・ハイブリッドも更新される予定。ポルシェカイエンと技術的に近いため、電気の力だけで72km前後走れるようになると予想できる。

アウディQ8 50TDI クワトロ Sライン(欧州仕様)
アウディQ8 50TDI クワトロ Sライン(欧州仕様)

価格は、50TDIのSラインで英国では7万2729ポンド(約1316万円)から。SQ8のフォアシュプルングは、11万8000ポンド(約2135万円)前後になるだろう。

英国仕様の場合、サスペンションはエアスプリングが標準。アクティブ・アンチロール バーと後輪操舵システムも、仕様次第では装備される。

インテリアは、より自由度の高いエクスクルーシブ・オプションへステップアップする前から、豪華な雰囲気に満ちている。BMWの内装も最近は質感を高めているが、やはりアウディが強みとする分野だろう。

全体的にソリッドで、可動部分の動きは滑らか。素材の肌触りも心地良い。エアコンはタッチモニターで操作するが、アイコンが大きくレイアウトもわかりやすい。運転中でも、気をもまずに温度を変えられそうだ。

スタイリングも存在感が強いまま。当初ほどの新鮮さはないものの、充分にハンサム。低く構えたスタンスを持ち、優雅といえる雰囲気を放っている。それでいて、リアシートの空間にもゆとりがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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