ルート66でエリア51へ SUVに並ぶファミリーカーにも ヒョンデ・サンタクルーズへ試乗

公開 : 2023.12.04 19:05

アメリカンなピックアップ、サンタクルーズでルート66へ モノコックボディの快適な乗り心地 SUVに並ぶファミリーカーになり得る 英国編集部が評価

気づいたら携帯電話の写真が消えていた?

アメリカ・ネバダ州の広大な砂漠。UFOが隠されているという噂の、エリア51が近い。道端に、くたびれたポストが立っていた。ここに手紙を入れると、収容されている宇宙人へ届けてくれるとか、くれないとか。

UFOを隠すためだとしても、最新のジェット戦闘機を実験するためだとしても、アメリカが機密度の高い空軍基地をここに建設した理由を理解できる。接近を阻む鉄条網が延々と巡らされているが、それ以外何もない。乾燥した大地が広がっている。

ヒョンデ・サンタクルーズ(北米仕様)
ヒョンデ・サンタクルーズ(北米仕様)

民間の労働者なども出入りするゲートが、1か所だけあるという。高速道路を使って20分ほどかかる近郊の町から、シャトルバスが来るらしい。白いSUVが近づいてくる。観光者が降りてきて、スマートフォンでポストを撮影し始めた。

そのツアーガイドへお話を伺うと、ゲートはここから約20km離れた場所にあるという。接近する人の存在を、「彼らは既に知っている」と口にする。「彼ら」を、望ましくない権力者を指すような口調で語った。それでも、興味は惹かれる。

迷彩柄の服を着た彼らは、砂埃を巻き上げて走る新しいヒョンデ・サンタクルーズを警戒するだろうか。撮影目的でゲートへ近づいても、遠隔でデジタル的に身元調査を受けるそうだ。英国からの訪問者も多いとか。

「携帯電話の写真が気づいたら削除されていた、という人もいます。デジタル一眼レフでゲートを撮影した女性は、クルマに戻って画像を確認すると、データが全部消えていたこともあったようです」。信ぴょう性は定かではないが。

アメリカなら都市部の運転に適するモデル

筆者がここへ立ち寄った理由は、シカゴからロサンゼルスまで続く、ルート66から遠くなかったから。より良い生活を求めて開拓者が西を目指した、歴史的な道だ。数年前にもドライブを楽しんだが、もっと興味深い道はないのかとも考えていた。

今回は、新型サンタフェを試乗するため、アメリカ中南部のニューメキシコ州サンタフェを訪れた。真新しいピックアップトラック、サンタクルーズも用意されていた。そこでアルバカーキへ南下し、ルート66へ合流することにしたのだ。

ヒョンデ・サンタクルーズ(北米仕様)
ヒョンデ・サンタクルーズ(北米仕様)

グレートブリテン島へ、サンタクルーズが導入される予定はない。だが、問い合わせは多いという。全長5mを切る手頃なサイズのピックアップトラックで、5シーターのダブルキャブに、長さ1.3mの荷台がついている。

セパレートシャシーではなくモノコックボディで、ワゴンタイプのSUVに並ぶような、ファミリーカーになり得る。恐らく、英国人にも受け入れられるだろう。

今回の試乗車は四輪駆動で、2.5L直列4気筒ガソリン・ターボエンジンを搭載する。最高出力285ps、最大トルク42.9kg-mとなかなかたくましい。アメリカ人の評価では、都市部での運転に適するモデル、だという。島国とは環境が違う。

アルバカーキから西を目指したが、頻繁にすれ違ったり並走する、フルサイズのピックアップトラックより遥かに乗用車的。荷台がキャビンと独立していないのも、特徴の1つといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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