ルート66でエリア51へ SUVに並ぶファミリーカーにも ヒョンデ・サンタクルーズへ試乗

公開 : 2023.12.04 19:05

働くクルマ的な雰囲気は薄い 乗り心地は快適

アメリカは広い。旧道のルート66は残っているが、並行して片側2車線か3車線の高速道路、40号線も伸びている。本来のルート66も、問題なく走れる。だが町を抜けてしまうと、高速道路と見える景色はさほど変わりない。

砂漠の中を走っていると、映画「カーズ」のラジエーター・スプリングスへ迷い込めそうな気がしてくる。寂れた町にも、インターチェンジが設けられている。

ヒョンデ・サンタクルーズ(北米仕様)
ヒョンデ・サンタクルーズ(北米仕様)

観光地は、たいてい40号線から外れたところにある。ナバホ族のウィンドウロックやグランドキャニオン、ラスベガスなど。無駄使いをしたくなければ、その手前のフーバー・ダムが良い。絶景を拝める。

336万立方mのコンクリートで川がせき止められ、その背後には長さ185kmにも及ぶ人工湖が広がる。17基の発電用タービンは、2.08メガワットの電気を生み出すそうだ。すぐ横には、2010年に竣工した高速道路、93号線が走っている。

375号線、通称エクスターナル・ハイウェイ(地球外高速道路)沿いのレイチェルという小さな町には、エイリアンをテーマにしたカフェがあった。エリア51は南にある。

サンタクルーズの乗り心地は、落ち着いていて悪くない。欧州で購入できる、最も快適なセパレートシャシーのピックアップトラックより上質。働くクルマ的な雰囲気は薄い。

ステアリングホイールは重めだが、反応は正確。トラックであることを忘れそうになるほど。キャビンが別れているから、釣った魚の匂いが車内に充満するのを防げる。海水で濡れたサーフボードも、気兼ねなく荷台へ積める。

オフロード・サーキットを軽快に駆け回る

375号線の大きなカーブを抜ける。間違いなく極秘の軍事空軍基地は存在するのだが、この地域の人も、エイリアンのことは良く理解していない。

目的のゲートを取り囲む鉄条網には、剃刀の刃のような鋭利な金属が無数についていた。写真撮影禁止と書かれた警告看板も立っていた。警備員の隣で自撮りしようものなら、どんな目に合うかわからない。

ヒョンデ・サンタクルーズ(北米仕様)
ヒョンデ・サンタクルーズ(北米仕様)

数分間、付近をうろつく。スモークフィルムが窓に貼られた、白いシボレー・サバーバンが入っていく。宇宙人ではなく、民間の労働者を管理するシフトマネージャーが乗っているのだろう。

クルマへ戻り、オフロード・サーキットへ足を伸ばす。四輪駆動を必要とするほどシリアスな路面ではないものの、後輪駆動より有効なことは間違いない。サンタクルーズは軽快に駆け回る。アメリカ大陸には、こんな路面環境がコースの外にも広がっている。

もしかすると、ドローンや地震計で、筆者の接近を内部の人間は知っていたのかもしれない。内偵捜査する価値はないと思うが。

高速道路へ戻り、カリフォルニア州へ向けて6時間ほど西へ走った。荒涼としたデスバレーを抜け、飛行機の墓場として知られるツーソン郊外を横切る。

ロサンゼルスは陽気で、交通量が多い。ルート66の終点は、内地より興味をそそる場所だ。サンタクルーズの運転にも適した場所に思える。

念のため、写真が消されていないかスマートフォンを確認した。大丈夫だった。

ヒョンデ・サンタクルーズ(北米仕様)のスペック

北米価格:2万7985ドル(約419万円)
全長:4970mm
全幅:1905mm
全高:1695mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:7.0秒
燃費:7.8km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1878kg
パワートレイン:直列4気筒2497cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:285ps/5800rpm
最大トルク:42.9kg-m/1700rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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