マツダ2

公開 : 2014.11.06 22:55  更新 : 2017.05.29 19:13

■どんな感じ?

ここ最近にデビューを果たしたマツダ車は、どれもがわれわれを感動させてくれたのだが、キャビンのキャラクターは薄味なものが多かったように思える。

しかし、マツダのチーフ・デザイナーで、このクルマの内外装のスタイリングの責任者である柳澤 亮氏がインテリア・デザイナーとしてキャリアを積んできたこととを知ればさほどの驚きではないかもしれないが、このクルマは他のモデルとはひと味ちがう。

ダッシュボード上に配された力強いコントラスト・ラインや、こざっぱりとしているが一体形成のセンター・コンソール、メーター・パネル上部の限られたスペースに配された照準器のようなアクティブ・ドライビング・ディスプレイなど、一見取るに足らないような部分が組み合わされることによって、内装に並外れた ’特別感’ が与えられているのだ。

”クラス概念を打ち破る” と言う表現をマツダはよく使うのだが、ことマツダ2に関しては、なにも大げさな表現ではないのである。少なくともダッシュボードのデザインなどは、明らかに他のライバルよりも上をいっている。そのうえデザイン性を優先させるばかりに、使い勝手がスポイルされてしまっているわけでは全くない。確かにセンター・コンソールの下半分には華やかさが欠けるものの、現代的なコネクターは全て接続することができるし、カチリとした押し心地のスイッチ類は、一瞬にして新型のヴォグゾールコルサのそれを色褪せた存在に変えてしまう。

硬く、傷の入りやすいプラスティック製のパーツが皆無というわけではないのだが、上手く視界から避けられているし、レイアウトそのものもとても素晴らしい。

シートの設計は、ドライバーが素早く動作を変えられるよう、無重力空間で宇宙飛行士が自然にとる姿勢からヒントを得ているのだそうだ。実際に乗ってみても賞賛に値する出来栄えで、他のライバルよりも低くポジションを設定することができるのも特徴だ。

先代に乗った際は、狭い後部空間のおかげで足を窮屈に曲げたものだが、現行型にはリア・ドアが据えられ、驚くほど広大な頭上スペースのおかげで辛い重いをせずに済む。ホイールベースの延長分もあって、膝部がフロント・シートに当たってしまうこともなかった。

ぎゅっと凝縮感のある車体構造は小型車に乗っている感覚を呼び起こすものの、これまでのマツダの小型車と比べると、明らかに大きく、ラグジュアリーになっている。このクルマを買えば、より良くなったドライビング・エクスペリエンスに直線的に繋がる熟練に触れられるはずだ。

先代がベンチマークとして挙げていたのはフォードフィエスタだったのだけれど、このモデルからはフォルクスワーゲン・ポロへと ’格上げ’ された。元気はつらつで、小気味よいさまは堅実に先代のそれを受け継いでいるのだが、これに扱いやすさや快適性が付加されている。

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