5分で160km分の充電 北欧の高級電動セダン 超高剛性シャシーでポルシェに対抗

公開 : 2023.11.14 18:05

・スウェーデンのポールスター、新型EVのポールスター5を公開。
・ポルシェの対抗馬? 超高剛性プラットフォームで走りと快適性を追求。
・イスラエル企業の急速充電技術も導入。2025年発売へ。

先進的な急速充電技術を搭載

スウェーデンの自動車メーカーであるポールスターは、2025年に発売予定の新型EVとしてポールスター5を米国で公開した。バッテリーの寿命を低下させることなく、わずか5分で160km分の充電が可能だとしている。

この急速充電技術は「XFC(エクストリーム・ファスト・チャージング)」と呼ばれ、ポールスターと、同社が出資しているイスラエルの電池開発企業ストアドット(StoreDot)との共同開発によるものだ。ストアドットは、5分でフル充電できる携帯電話でXFCのパイオニアとなった。ポールスターによると、XFCは既存の駆動用バッテリー技術に応用でき、大幅な設計変更を必要としないという。

ポールスター5
ポールスター5    AUTOCAR

XFCは現在テストエンジニアリングの段階にあり、両社は2024年にポールスター5の実物大プロトタイプで実証する計画だ。

ストアドットのドロン・マイヤースドルフCEOは取材に対し、「従来のリチウムイオンを使用し、急速充電に適応させるという点で画期的だ」と語った。同社はシリコンアノードを使用したリチウムイオンパウチセルを製造しているが、ハードケースのプリズムセルへの使用も検討している。

スーパーカー級の剛性を確保

ポールスター5は、2基の電気モーターによる四輪駆動で、最高出力886psと最大トルク91.6kg-mを発生する。リアモーター単体で612psを発生するほか、800Vのアーキテクチャを備えている。

ポールスターのトーマス・インゲンラスCEOは、ポールスター5を「自社を定義するプロジェクト」と表現し、「その先進的なデザインと先進的なエンジニアリングは、ポールスターの未来を決定づけました。わたし達は素晴らしい才能を持ち、真に象徴的なEVを創造することができます」と述べた。

ポールスター5
ポールスター5    AUTOCAR

デザインのベースとなったのは、2020年に公開されたコンセプトカー「プリセプト」だ。このコンセプトの特徴であった超スリムなデジタルサイドミラー、逆開式のリアドア、特大のアルミホイールは量産化に至らなかったようだ。

ポールスターは以前、クラス最軽量となるまったく新しいプラットフォームにより「スーパーカーレベル」のボディ剛性を得るとしていた。ボディは主にボンデッドアルミで構成され、その他の部分は熱間成形、冷間成形、ダイキャスト、押し出しアルミニウムで作られている。

チーフエンジニアのデイブ・ケイン氏は「スーパーカーレベルのねじり剛性は、クラスをリードする乗り心地とハンドリング・ダイナミクスの基本」と語る。バッテリー容量は未定だが、プラットフォームに統合される。

研究開発部門の責任者であるピート・アレン氏は、ポールスター5の目標は「クラス最高レベルのダイナミクスを実現することであり、それは構造から始まる」とした。そのために、ボディは「2ドア・スポーツモデルのようなカーボンファイバーレベルのねじれ剛性」を実現しているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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