ドライバーズカー選手権2014 / スーパーカー部門

公開 : 2014.11.07 23:58  更新 : 2017.05.29 19:50

ステアリングは驚くほど軽く、初期のレスポンスはやや過敏だ。ほんの僅かに舵を切っても、こちらの予想以上に鼻先が向きを変える。仮に雑な操舵をしようものなら、いかに鋭いクルマであるかをテールの挙動が教えてくれるだろう。やや神経質な反応をする。これがわれわれの第一印象だ。

しかしながらフェラーリ本来の走り方を学べば(数周もかからない)、スペチアーレはとたんに活き活きとし始める。そこからは、ある種のスリルを醸しはじめ、ストレートでもコーナーでもお構いなしに熱情的な刺激を振り撒きつづける。

”ロードカーというよりもレーシングカーに近い” と言ったのはアンドリュー・フランケル。実に端的に458スペチアーレを表現している。マーク・ティショーは ”コーナリングでの速さはこちらが呆れるほど。向きを変えることがこれほど楽しいクルマはない”。マット・プライヤーは ”ドライバーを忙しなくさせることは間違いないが、その代わりにスロットル開度だけで他では真似できない正確性を得ることができる” と感想を述べた。

458スペチアーレに乗ったあとは、みな口を揃えて ”もっと乗っていたい” と言っていた。ラップタイムは1分11秒9。ナンバープレートを付けたクルマとしては常軌を逸したタイムだ。ちなみにGT3は1分13秒1、マクラーレンは1分12秒9。感覚的にも、そして実際のタイムでも458スペチアーレが他を大きく引き離す結果となった。

911GT3はブレーキング時の並外れた安定感とともに458に負けずとも劣らぬ興奮を与えてくれた。リアエンドのフィールは非常に素晴らしいし、トラクションにもかなり満足できる(正直に言って458より優れている)うえ、エレクトリック・パワー・ステアリングやデュアル−クラッチ・オートマティック・ギアボックスの仕立ても絶妙だ。

ともすればGT3がトップでもいいじゃないかと言う声が聞こえてきそうだが、唯一馬力だけが他2台に劣っているのだ。コーナーではいい勝負ができる反面、ストレートになればたちまち置いて行かれてしまう。しかし大部分ではさほど気にすることはないし、何より911GT3の (a)個体単位で見れば十分すぎるほどのパワーを持っている点、(b)特にカーブでは458より密接にドライバーと連携が取れる点、は覚えておいていただきたい。

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