ドライバーズカー選手権2014 / V8マッスルカー部門
公開 : 2014.11.07 23:56 更新 : 2017.05.29 19:50
F-タイプに乗ってピットに戻ってきたものは皆、目を大きく広げて、ドラマティックさについて熱く語っていた。
”もっとワイルドな乗り心地を予想していたのに、こんなに落ち着き払っているとは…” という意見や、”覚悟を決めてドライバー・アシストを解除した時の炸裂感は恐れおののくレベルだ” といった意見をよく耳にした。
ロードテスト・エディターのマット・プライヤーは、F-タイプに最高得点を与えたうえで ”4速で161km/hまで出せるおかげで、どこへでも飛んでいけそうな気分になる。また、エグゾースト・ノートの迫力ほどエンターテイメント性が優れていないところは、往年のヒストリック・レーシング・サルーンを思い起こさせてくれる” と述べた。
情熱に満ち溢れていながら、いつもいつも思い通りにいくわけではないという点に関しては、皆、彼の意見に賛成である。
カッスル・クームにてジャガーを走らせる限り、加速力とターンインのマナーがどうもリア・アクスルの能力にマッチしておらず、結果的に狙ったラインから不安定に逸れてしまうことがあった。もっと単純に表現するとしたら、超高速域での安定性に欠けているのだ。
一般道では、パワートレインとステアリングは一転して柔和になり、シャシー・バランスも擡頭しはじめる。しかしそれでも、高速域の印象を完全に払拭するには至っていない。俯瞰的に見れば、高い評価を与えることは難しいし、実際にも8位より上の評価を下すものはいなかった。
一方のヴォグゾールはジャガーよりも高い評価を獲得するとともに、今年初旬に試乗した際のわれわれの評価が正しかったことも証明した。585psという出力と、車重、サイズの組み合わせをもつクルマはVXR8以外になかなく見つけられまい。
現代の他のクルマと比べると、VXR8はストッピング・パワーやボディ・コントロール、グリップ、操舵に対するレスポンスが今ひとつに感じる。一般的なベンチマークと比べた時も、(スポーツ-サルーンでさえも)他車の方が良さそうな感じもする。しかし ’ノーマル’ なクルマには成し得ないことがVXR8には可能なのである。
つまり絶対的な実力を見れば、これよりも優れたクルマはたくさんあるのだ。だが、限られたシチュエーションで発揮する事のできる突出した能力は、他ではなかなか得ることはできない。またそう言ったオールラウンダーではない、実直な ’男臭さ’ のようなものに惚れる向きも決して少なくはないはずだ。