ドライバーズカー選手権2014 / 異分野対決

公開 : 2014.11.07 23:55  更新 : 2017.05.29 19:50

そしてアトムはどんなものをわれわれに与えてくれるのだろう。まずは以下2つのコメントを読んでいただきたい。”ターン-インはとてつもなくナーバスだが、手に負えないわけではない。しかし完璧に乗りこなすには時間を要する”、”常にオーバーステアの姿勢に転じたがるため扱いが難しく、踏めば踏むほどさらにその傾向が高まる”

興味深いのはこれらの記述が、かなり前のクルマに試乗した記事に用いられている点だ。1つ目の記事は2001年に193psのローバーK-シリーズ・エンジンを載せたアトムに乗った時のもので、2つ目は去年アトム3.5に乗った時のものである。そして今回運転した3.5Rは、これら2台よりもほんの僅かではあるが扱いやすくなっていることを先に記しておこう。

もちろん今まで同様の速さは健在で、スタンダードの248psという値はパワー・ウエイト・レシオで言うとフェラーリF12と同じである。今回連れ出したモデルに至っては、355psもあり、クラッチなしのシーケンシャル・シフトまでついている。それだけには終わらず、アリエルは、オーリンズ製のTTXダンパー(一本につき18万円)、アジャスタブルLSD、クムホのトラックデー専用タイヤや、もしお望みならばアトムV8用のフロント/リア・ウイングまで用意した。

進化は計り知れないほどで、当然ラップタイムも常に最速である。アリエルの予想では507psのアトムV8よりも速く走り抜けることができ、それでいて、(多少の差こそあれ)史上最高に扱いやすいということだ。

追加されたコンポーネントのおかげでアリエルはさらに高みへと上り詰めた。これまで足りなかったパズルの一片をついに探し当てたかのように、ポテンシャルは完成度を高めてきたのだ。

神経質だったターン-インも改善されている。レーシングカーさながらにブレーキングのタイミングを限界まで我慢して、コーナー出口でパワーを解き放ってやれば、ほんの僅かなアンダーステアを感じつつ、思い通りにオーバーステアに転じさせることも可能だ。目がくらむような速さと、正確性、安定感、フィールを完璧なレベルで実現したのである。

もはや空力特性やタイヤ、デフ、ダンパーがどう進化したかなどは関係ない。大事なのは実際的である以上に、理論的にわれわれがこのクルマを愛し続けてきて、ようやくアリエル・アトムが、ハンドリングカーの中で、確固たる地位を得るに至った、ということだ。

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