ホンダが、インド生産の「WR-V」をこのタイミングで日本導入する理由

公開 : 2023.11.16 11:05  更新 : 2023.11.16 11:30

なぜ、ホンダは今「WR-V」を導入するのでしょう? 新型のエントリーSUVモデル、その注目は価格帯とグローバル戦略です。

発売は2024年春 200万円台のエントリーSUV

ホンダが新型SUV「WR-V」を披露した。正式な発表は2023年12月となり、発売は2024年春を予定してる。

それにしても、ホンダはなぜ、このタイミングでWR-Vを日本に導入するのか?

WR-V Z+(イルミナスレッド・メタリックは日本初導入)
WR-V Z+(イルミナスレッド・メタリックは日本初導入)    神村聖

しかも、生産はインドだという。

ホンダの狙いについて、同社の商品企画、デザイン、また純正アクセサリーそれぞれの部門担当者から直接、話を聞いた。

まずは、WR-Vとはどのようなクルマなのかを確認しておきたい。

カテゴリーとしては、ヴェゼルと同じコンパクトSUV。ボディ寸法は、全長4325×全幅1790×全高1650mmで、ヴェゼル(4330×1790×1580mm)とかなり近い。

パワートレインは1.5リッターガソリンのみを設定した。

注目は価格だ。車両本体価格は200万円台の前半からとしている。

グレードは「X」「Z」「Z+」の3つだが、最上級の「Z+」でも250万円程度になると予想される。

国内市場において、ホンダのSUVは300万円台から400万円台に「ZR-V」、次いで「ヴェゼル」があり、今回導入するWR-VはホンダSUVのエントリーモデルと位置付けられている。

ホンダによると、現状では「フィット」などのユーザーがSUVを購入する際、他ブランドに移行するケースが見られ、ホンダの販売店としても200万円台前半から中盤の価格設定としたSUVの早期市場導入を強く望んでいたという。

日本仕様 インドネシアのWR-Vとは別物

さて、WR-Vの日本導入についてはこれまで様々な噂があった。

例えば、インドネシアなどで販売されているWR-Vを日本に導入するのではないか、という憶測記事がネット上に広がっていた。

WR-V Z(メテオロイドグレー・メタリック)
WR-V Z(メテオロイドグレー・メタリック)    神村聖

ところが、今回発表されたWR-Vは、そうした既存のWR-Vとは別物であることが判明した。

つまり、グローバルで見ると、ホンダWR-Vというモデル名を持つクルマが並存することになる。今回日本に導入されるWR-Vはあくまでも、“日本専用車”という位置付けなのだ。

その上で、日本に導入されるWR-Vはどういうモデルなのか?

ホンダによれば、2023年9月にインドでワールドプレミアした「エレベイト」がベースだという。同車のプラットフォームは、インド向けなどの「シティ」で、搭載する1.5Lガソリンエンジンは日本市場の場合、ヴェゼルと共通とのこと。

インドネシアなどで販売されているWR-Vと比べると、全長が長いだけではなく、デザインや車格としても“ワンランク上”という印象だ。

日本に導入するWR-Vの商品企画については、タイのバンコク郊外にあるホンダの開発拠点で行われた。開発チームは、タイ、インド、日本などアジア圏の多様な国の若手が中心となって構成された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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