600m先の状況も認識「走行中によそ見OK」 ポールスター4へ初同乗 リアウインドウを省き空力追求
公開 : 2023.11.28 19:05
cm単位で周辺環境を把握する自律運転を搭載 高さ以外はメルセデス EQE SUVに近いサイズ シンプルな内装と硬めの乗り心地が特徴 英国編集部が同乗
最大600m先まで交通状況を自律的に認識
SUVクーペの再発明と銘打った、バッテリーEVのポールスター4が発売される。その目玉といえる機能が、ステアリングホイールから手を離せるハンズオフではなく、目を閉じても大丈夫なアイズオフに対応する、自律運転システムを搭載すること。
この4は、スウェーデンを拠点にするポールスターとしては4番目のモデルに当たり、電動版ポルシェ・マカンなどに並ぶ、プレミアム・クロスオーバーへ属する。2023年11月から中国で生産は始まっており、年内中には現地の顧客へ納車が始まるという。
韓国にも生産拠点が設けられ、欧州での発売は2024年の春から。英国にも導入される予定だ。
ここで1度整理しておくと、ポールスターの1は、プラグイン・ハイブリッドの高性能なクーペだった。2はコンパクト・クロスオーバー。間もなく発売される3は大型SUVで、この4より僅かに大きい。今後の5はサルーンで、6はスポーツカーとなる。
これらの中で、4が主力モデルになると予想されている。2025年までに、年間15万5000台から16万5000台の販売が見込まれている。
4の一歩先を行く自律運転システムには、大手サプライヤーの1社、モービルアイ社による新しいショーファー・システムを採用。複数のセンサーやカメラなどが組み合わされるが、ルミナー社が提供する高度なレーザーセンサー、ライダーも搭載する。
最大600m先まで、交通状況を認識。車両を取り囲む環境を、cm単位で解析することが可能らしい。高速道路でも、安全に停止できる能力が担保されている。
ポールスター初の完全な独自モデル
中国仕様の場合、4には独自のオペレーティング・システム(OS)を実装。同じシステムで稼働するポールスター社製スマートフォンを購入すれば、デジタルな生活へシームレスに4を取り込めるという。このOSは、市場によって変更が加えられるとのこと。
ポールスターは環境意識の高いブランドだが、4は、現在のモデルラインナップで最もCO2の排出量が小さいと主張される。生産から利用、リサイクルまでの一連で生み出されるCO2は、同社のライフサイクル・アセスメント基準で19.4tだという。
中国・杭州湾(こうしゅうわん)へ面したジーリー・ホールディングスの工場では、太陽光と水力で生み出された電力を使用。アルミニウムなども、環境負荷へ配慮した素材を利用するとしている。
ポールスターでサステナビリティの責任者を担うフレドリカ・クラレン氏は、「すべてのモデルへカーボン・バジェット(CO2排出量の上限)を設定しています。材料の選択から生産工場のエネルギーまで、あらゆる部分へ影響を及ぼします」。と説明する。
難しい話へ逸れたが、この4は、同時に開発が進められた3とともに、ポールスター初の完全な独自モデルになる。プラットフォームは、アルミニウム製のPMA。ボルボも利用するものだ。
BMWやジェネシスなどへ並ぶプレミアム・ブランドとして、価格はお高め。英国での設定は明らかになっていないが、シングルモーターかツインモーターで幅があり、5万ポンド(約905万円)から6万5000ポンド(約1086万円)の間になる見込み。