性能はスポーツカー並み? 3列7人乗りの大型電動SUV 航続700km以上の長距離ランナー、2024年発売へ
公開 : 2023.11.17 18:45
・米ルーシッドが7人乗りの新型SUV、グラビティを発表。
・航続距離700km以上、0-100km/h加速は3.5秒。足の速い長距離ランナー。
・8万ドル(約1200万円)以下で2024年に米国発売予定。
1回の充電で700km以上
米国の自動車メーカーであるルーシッドは、11月17日にロサンゼルスで開幕した国際自動車展示会「LAオートショー」において、新型電動SUVのグラビティを公開した。
詳細な情報はまだ解禁されていないが、1回の充電での航続距離が700kmを超える仕様も設定されるという。7人乗りでありながら「スポーツカー並みのパフォーマンス」を謳い、0-100km/h加速は3.5秒、最大積載量700kg以上、最大牽引力は約3トンとされる。
ルーシッドは航続距離の長さで注目を集めている。2021年に電動セダンのエアに設定した「ドリーム・エディション」という仕様では、容量120kWhのバッテリーを搭載し、最長837km(520マイル)の航続距離を誇る。米国EPAサイクルでは市販EV最長と認定されている。
同社のピーター・ローリンソンCEOは、このような仕様が新型グラビティにも設定されるかという問いに対し「否定はしません」と答え、開発中であることをほぼ認めた。
「グラビティでは、708km(440マイル)以上になるでしょう。まだ数字は言えません」
「もし仮に、グラビティ・ドリーム・エディションを作るとしたら、440台以上の限定販売になるかもしれません」
エア・ドリームは、520マイルという航続距離に関連して520台の限定販売とされた。
おそらく標準のグラビティでも航続距離700kmを超え、限定販売のドリーム・エディションではさらに延長するものと考えられる。標準車でも現在販売されている電動SUVの中では最長となるが、ドリーム・エディションでさらに伸びればライバルを大きく引き離すことになるだろう。
注目すべきは、エア・ドリーム・エディションでは最高出力1111ps と大幅にパワーアップし、0-100km/h加速をわずか2.5秒に短縮したことである。グラビティでも同様のパフォーマンスが期待できそうだ。
ローリンソン氏はグラビティ・ドリーム・エディションの発表時期については明かさなかったが、エア・ドリーム・エディションの場合は標準車から2か月後に発表された。
効率を高めるエアロボディ
ルーシッドのチーフエンジニアであるエリック・バッハ氏は、グラビティについて「スーパーカーのスピリットを備えた、環境に優しく多目的な電気自動車」と語っている。
グラビティは900V充電システムを搭載し、理論的にはわずか15分で320km分を充電することができる。
プラットフォームは、セダンのエアとは異なるものを採用する。ローリンソン氏は「それは受け入れがたい妥協だった」と述べており、オンロードとオフロードの両方に重点を置いた「サラブレッドSUV」として一から設計した。
ルーシッドは、約120kWhのバッテリーによる最長航続距離を700km以上、平均消費電力は5.8km/kWhとしている。効率を高めるため、スムースで比較的低く構えたシルエットを採用し、空気抵抗係数Cd値0.24を達成。パワートレインもルーシッド独自の「小型」のものだという。
ローリンソン氏によれば、「できるだけ多くのバッテリーを詰め込む」ことで航続距離を伸ばすのは「恐ろしくローテクな解決策」だという。ルーシッドはこのやり方を「ダムレンジ(dumb range)」と呼んでいる。
LAオートショーでグラビティを実車公開したローリンソン氏は、「より少ないバッテリーでより遠くまで移動でき、貴重なエネルギー使用量を低く抑えられる」ことを示すショーケースであると表現した。また、その結果としてEV充電インフラへの需要が減少し、副産物として車両のダイナミクスが向上すると主張した。