スマート#1 詳細データテスト 個性的なデザイン 優れた静粛性 シャシーと操縦系は改善の余地あり

公開 : 2023.11.18 20:25  更新 : 2023.12.12 20:37

内装 ★★★★★★★★☆☆

全長は、MG4やルノーメガーヌE−テックより長く、クプラボーンキア・ニロEVより短いが、室内は広い。後席レッグルームは、クラス最大とはいえないが、大人が過ごすには文句なしだ。

とはいえ、荷室は物足りない。313Lという容量は、キア・ニロの475Lどころか、MG4の363Lにも及ばない。それでも形状はスクエアで、床下には使い勝手のいいスペースがある。後席スライドも、多少はプラスになっている。シートを前に出した際の荷室とのギャップは、カーペットでカバーされる。それでも、これより実用性の高いライバルは多い。

メルセデス的なデザインだが、スマートらしい明るさを感じるキャビン。タッチディスプレイも使いやすいが、ミラー調整くらいはハードスイッチにしてほしいところだ。
メルセデス的なデザインだが、スマートらしい明るさを感じるキャビン。タッチディスプレイも使いやすいが、ミラー調整くらいはハードスイッチにしてほしいところだ。    JACK HARRISON

前席は、エクステリアと同じテイストがあり、メルセデスらしさを強く感じさせる。丸みを帯びたセンターコンソールに小物入れが3つ並ぶ眺めはじつにメルセデス的だ。しかし、スマートらしい明るさが盛り込まれている。

実用性は高く、フロアには大きなものを置けるトレイが設置されている。パールホワイト仕上げも斬新で、グロスブラックのように指紋が目立たない。なお、ホワイトのシートを選ぶと、メタリックグレー仕上げになる。

たしかに、硬いプラスティックも多用されているが、12万ポンド(約2244万円)のEQSではないので、それも仕方ないことだ。全体的には、ソフトなマテリアルが表面の広範囲を覆っていて、そこはクプラやMGには見られない要素だ。

インテリアの各部には、白いつぶれたドーナッツのようなモチーフが多用されている。ヘッドレストの横やダッシュボード、充電ケーブルのハンドルにもそれが見受けられる。テスト車は黒革を張った仕様だが、それでも明るく開放的で楽しげな雰囲気のキャビンだ。

そのフィーリングをもたらしているのが、立ち気味で大きなガラスハウスだ。その点で、メガーヌE-テックとは正反対といえる。

荷室が小さいのを別にすれば、大きな不満はひとつ。最近のクルマではよくあることだが、実体ボタンが不足している。ディスプレイを介しても空調や二次的機能へダイレクトにアクセスできるので、操作性はいいほうだ。それでも、サイドミラーの調整にメニューを呼び出さなくてはならないのでは、イライラしてしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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