eトロン改めQ8 eトロン アウディのフルサイズ電動SUV マイチェンで熟成
公開 : 2023.11.20 20:25
アウディは全世界で15万台を売り上げたeトロンのマイナーチェンジを行いました。Q8 eトロンと名称も変更されましたが、既存のQ8とは別のクルマとなっています。アウディ最新EVを詳しく見ていきましょう。
Q8の派生新型ではない、電動のQ8
話が少々ややこしいのは、マイナーチェンジで肝心かなめの車名が変更されていることだろう。
アウディ初のフルEVモデルであるeトロンが、デビューから5年で車名を「Q8 eトロン」と改め生まれ変わった。だからこれは既存のQ8にフルEVモデルが追加されたわけではない。実際にeトロンの方がボディサイズはひと回り小さいのである。
2018年のeトロン、そしてeトロン・スポーツバックのデビュー以降、アウディの電動化は着実に進んでおり、現在は10車種にもなる。また2025年に最終の内燃エンジン搭載車をデビューさせたあとはフルEV専業メーカーになることを発表しているのだ。
今回デビューしたアウディQ8 eトロンの前身である、その名もeトロンは全世界で15万台の販売を記録した成功作だ。当初アウディは往年のクワトロと同じようにeトロンの名称を浸透させる狙いで、それをファーストEVの車名にしていた。その役目がひと段落したところで、今回は分類上Q8のシリーズの鞘に納められたかたちとなる。
ボディ形式はQ8 eトロンとQ8 eトロン・スポーツバックという基本的に依然と同じ2種類。グレードも50と55という名称は変わらない。
今回のマイチェンによる変更点は、見た目の部分では車体前後と、フォーシルバーリングスのデザインが変わっている。一方内部ではバッテリーの容量アップに加え、内部の効率も高められており、一充電走行距離は50では+34%(424km)/55では+23%(501km)まで伸びている。
一充電走行距離は、最新EVより少なめに映る
今回我々が試乗したモデルの正式名称はQ8スポーツバックeトロン55クワトロSライン。ボディカラーはマデイラブラウン・メタリックでなおかつグリル等をブラックアウトしたシックなものだった。けれど太陽光の下では真っ黒に見えてしまうのが少々残念。
2時間程度の試乗で、今回のマイチェンの核心たる航続距離の伸びを感じることはもちろんできない。とはいえ一充電あたりの走行距離が600km前後のモデルが増えてきている昨今なので、Q8 eトロン55の501kmというWLTC数値はちょっと弱めに感じる。なにしろ走行距離だけで言えばQ4 40 eトロンの方がWLTC数値576kmと、兄貴分を軽く上回ってしまうのである。
4年前、eトロンが本邦デビューを果たした時の試乗会は箱根で行われた。当時は走行距離が400kmと言われても「まあそんなものかな?」という認識だったし、それよりもガソリンモデルのアウディから乗り換えた時の違和感のなさ、そしていきなりの完成度の高さに驚かされた覚えがある。
今回も走りはじめてすぐに進化の跡が感じられた。それこそ4年前は「さすが床下に敷いた700kgのバッテリーの効果は絶大だな!」と思える特徴的なドライブフィールがそこにはあった。当時はメーカーも「床下バッテリーのおかげで重心が低く~」というセリフを連呼していたし、我々もそれをEV時代の証と思っていたフシがある。だが今回は「それ」があまり感じられなかったのである。