カクカク・デザインで出だし順調 キアEV9 GTラインへ試乗 乗り心地以外は好印象

公開 : 2023.12.10 19:05

カクカクしたデザインのEV9が欧州へ 現行ディスカバリーと同等サイズ 3列シートの広い車内 パワートレインは滑らかでも乗り心地は今ひとつ 英国編集部が評価

キアランドローバー・ディスカバリー

日本へ上陸はしていないが、キア・スティンガーが登場した時、AUTOCARでは同社のBMW 3シリーズだと表現した。販売数ではご本家へ遥かに届かなかったものの、欧州では小さくない話題を集め、クルマ作りに対する意気込みを感じさせてくれた。

EV9に対しては、以前にキアのランドローバー・ディスカバリーだと表現している。こちらも既に大きな話題を集めており、多くの大型SUVユーザーが乗り換えを検討し始めているという。出だしは順調なようだ。

キアEV9 GTライン(欧州仕様)
キアEV9 GTライン(欧州仕様)

英国市場の場合、EV9の納車は2024年1月からスタートする。お値段は、フル装備のトップグレード、GTラインSで7万5995ポンド(約1376万円)から。決してお安いモデルではないのだが。

エントリーグレードのエアなら、6万4995ポンド(約1176万円)へ落ちるものの、それでも韓国車としてはなかなかの金額。今回試乗したGTラインはミドルグレードで、7万3245ポンド(約1325万円)なり。

このEV9は、欧州カー・オブ・ザ・イヤーや北米SUVオブ・ザ・イヤーを受賞した、見事な仕上がりのEV6より格上の電動SUV。ボディサイズは全長が5015mm、全幅が1980mm、全高は1780mmで、現行のディスカバリーと同等のサイズがある。

存在感あるスタイリング 3列シートの広い車内

大きいだけでなく、カクカクしたスタイリングと相まって、存在感はかなりのもの。ファンタスティックと声を漏らしたくなるほど精悍で、試乗車のライトブルーの塗装は、薄暗い秋のデンマークでひときわ明るく目立っていた。

可愛いデザインではないが、見る人を笑顔にするような、ファミリーSUVのコンセプトカーにすら見える。量産車なのに。

キアEV9 GTライン(欧州仕様)
キアEV9 GTライン(欧州仕様)

実は筆者も、欧州カー・オブ・ザ・イヤーの審査のため、ほかの23台のノミネート車両とともに1度試乗している。自分的には、その中でEV9が最も強い印象を残してくれた。

EV9は3列シートが標準で、定員は6名か7名を選べる。6シーターの場合、2列目がキャプテンシートになり、180度回転させて3列目とボックスシート状にできる。キアは、注文の中心は7シーター仕様だと予想する。

2列目の空間にはゆとりがあり、大人でも快適に過ごせる。3列目は、高さ方向に余裕があるものの、膝前の空間は限定的。それぞれの席へカップホルダーが用意され、充電ポートもある。スマートフォンの充電の順番を闘う必要はない。

インテリアデザインは、少し前のフォルクスワーゲンのように高品質。大きなタッチモニターが備わり、造形もスマートでありながら、使い勝手も犠牲になっていない。装備も充実している。

ただし、内装の素材にはもう少し高級感が欲しい。価格帯にそぐわない部分が、ちらほら存在する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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