トヨタ「楽しいEV」推進で、セリカ復活へ… 最新技術と昔ながらのレシピを融合
公開 : 2023.11.21 06:05
・「セリカ」復活に意欲示すトヨタ。低車高の電動スポーツカーとして導入?
・画期的なプラットフォーム構造とバッテリー技術で実現する次世代EV。
・マニュアルトランスミッション、ステアバイワイヤなど独自技術投入か。
運転の楽しい電動スポーツカー
2006年まで生産されていたトヨタのスポーツカー、セリカがEV(電気自動車)として復活するのではないかという期待が高まっている。
トヨタとレクサスは、モジュール式EV用プラットフォームによって、小型スポーツカーから大型SUVまで多様な新型車投入が可能になった。
このプラットフォーム(名称未定)を最初に採用するのは、2026年に登場予定のレクサスのセダンで、先ごろ開催されたジャパンモビリティショー2023ではコンセプトカー「LF-ZC」として予告された。
ジャパンモビリティショーではLF-ZCの他に3台のコンセプトカーが展示され、このプラットフォームの多用途性を示した。全長4.4mのトヨタ「FT-Se」コンセプトは、かつてのMR2の流れを汲む “ミドエンジン” 風のスポーツカーを予告するもの。全長5.2mのレクサス「LF-ZL」は堂々たる高級フラッグシップSUVで、大型SUVのトヨタ「FT-3e」は既存のRAV4の1クラス上に位置するモデルだ。
2021年後半、トヨタの豊田章男会長兼CEO(当時)は2030年までに世界で年間350万台のEVを販売する計画を明らかにし、全30車種のEVのうち15車種を披露した。一度にこれほど多くの新型車を発表したのは、当時トヨタがEV開発で出遅れているという指摘に応えるためだった。
ジャパンモビリティショーに出展された4台のコンセプトカーは、2030年にはEVラインナップの一部として販売されているだろう。
次世代EV向けの画期的な構造
新プラットフォームでは車体形状やサイズにおける自由度が高く、車高の低いスポーツカー(FT-Seは全高1220mmで、ポルシェ718ケイマンより75mm低い)も十分に実現可能なようだ。
プラットフォームの構造を簡単に説明すると、まずフロント、センター、リアの3つのモジュラー・セクションに分けられる。コンポーネント(特にeアクスルとHVACシステム)は可能な限り小型化される。フロントとリアのモジュールは鏡のように対になっており、「ギガキャスト」という鋳造技術により、86もの部品(現在は溶接で接合されている)が1つのアルミダイキャスト部品にまとめられて部品数を大幅に削減する。フロントとリアにはeアクスルとサスペンション、センターにはフロア一体型のバッテリーが搭載される。
バッテリーは「パフォーマンス」タイプと呼ばれる最新のもので、角型セルを採用し、現行のbZ4Xのユニットより20%安く、航続距離を2倍にできる。サイズは2種類あり、1つは高さ100mmと薄く、低車高モデルのポテンシャルを引き出せるほか、車種に合わせて幅や長さを拡大・縮小できる。
フロント、センター、リアの3つのモジュールはボルトで結合され、修理コストを最小限に抑えるための修理可能な衝突構造を取り付ける。
レクサスによれば、プラットフォームを3つのモジュールに分割することで、「より極端」なクルマを作れるようになるという。また、簡素化、効率化、生産性の向上など、製造上のメリットも引き出すことができ、最終的には工程の短縮が可能になる。このような共通性があるため、理論的には、大きく異なるクルマであっても同じラインで製造することができる。
画像 トヨタがもう一度「楽しいクルマ」を作る時代【GR86、GRスープラなどガズーレーシングの最新スポーツモデルを写真でじっくり見る】 全69枚