スマート・フォーツー
公開 : 2014.11.08 23:50 更新 : 2017.05.29 18:43
2代目がそうであったように、こちらも同じく動力性能が向上しているのだが、その度合いは全く異なっている。
新設計のサスペンションは、大半の凹凸が続く路面をうまくやりすごくことができているし、フォーツー特有のハーシュネスも、もう過去のものだ。テスト車両は10mm車高が下がるオプションのスポーツ・サスペンションや16インチホイールを装着した、ハイスペック版のプロクシ・グレードだったのだが、身のこなしは常に落ち着き払っており、エレクトリック・パワー・ステアリングも非常に正確であった。
さすがにかなり大きな凹みや隆起を踏み越えればそれなりの衝撃は伝わってくるものの、市街地の試乗を通して耐え難くなるほどのものではない。先代に比べて成熟度合いが大きく増したと言っていいだろう。
わずか6.95mという最小回転直径は、ロンドン・タクシーを始めとする全ての他車を圧倒する。フロント・ホイールの舵角は45度となっており、このおかげでタイトな曲がり角や駐車の際も楽に操舵が可能だ。
今回のテスト・コースのようにクルマが多い環境下では、898ccターボよりも安価な自然吸気の999ccの方が相性が良いと感じられた。0-100km/hタイムが14.4秒も掛かることから、信号が青になった途端に集団から飛び出すことは難しいが、ターボのそれよりもレスポンスが良いのだ。ターボ・ユニットは一定時間の ’溜め’ があったあとに、一気に出力が増す傾向がある。したがって自然吸気の方が、文字通り自然に、スムーズに加速することが可能だ。ただし高速道路を走る際はターボ・ユニットの方が余裕がある。使用するうえで、どちらのシチュエーションが多いかを見極めたうえで判断すればいいのではないだろうか。
先に述べたように、ツイン-クラッチATは2015年まで待たなければならないのだが、今回はそのプリ-プロダクション版を試すことができた。英国では£995(18万円)を支払えば組み合わせることができ、確かに先代よりも良くはなくなっているのだが、リファインされたなめらかなマニュアル・トランスミッションほどの完成度ではない。振動が目立ち、’パーキング’ に入れる際にかなり力を入れなければならないのだ。
同じトランスミッションが組み合わされた他のテスト車両からは報告がなかっただけに、試作品ならではの個体差であることを祈っている。
インテリアに用いられる色彩や素材が万人に受けるかどうかは自信が持てないが、少なくとも価格に値するだけのプレミアム感は、誰もが感じることができるはずだ。