電気自動車の保険料が72%上昇 修理費用に原因 それでもEV普及する英国

公開 : 2023.11.24 06:05

保険会社はどう対応している?

一部の保険会社は、保険料を引き上げて自衛するどころか、単に市場を放棄している。

ジョン・ルイス(John Lewis Finance)もその1社で、同社はEVに関連するリスクとコストを分析しているという。そして今年初め、アビバ(Aviva)は現在英国で最も売れているEVであるテスラモデルYの新規契約を一時的に停止した。

一部車種の保険取り扱いを停止する保険会社もある。
一部車種の保険取り扱いを停止する保険会社もある。

ここ数週間、英国の全国紙には高額なEV保険に関する恐ろしい記事が掲載されており、保険料を4500ポンドも高く見積もられたという人や、更新料が2倍、3倍になったという人もいる。しかし、報道をよく見てみると、彼らは事故による保険金請求やスピード違反の罰則を認めており、また相見積もりをとることで、(前年よりは高いものの)はるかに安い保険を見つけたというケースが多い。

保険料の値上げは続くのか?

保険会社はEVの増加を懸念しているが、モーター・クレーム・グールーのケリー氏は、実際には保険料を押し下げることにつながると予測している。

「より多くの中古EVが低価格で市場に出回るので、保険料は下がるでしょう」とケリー氏。EVの台数が増えれば、修理業者もEVの修理に積極的に投資するという。

EVが増えて中古車市場も活性化すれば、やがて保険料は下がるという見方もある。
EVが増えて中古車市場も活性化すれば、やがて保険料は下がるという見方もある。

「EVの数が増えれば、修理に必要な設備や熟練スタッフに投資する修理業者も増えると思います。つまり、現在の問題が解消し始めるということです」

相見積もりをとるのが一番

EVの保険料についてより明確な実態を掴むために、英サリー州に住む63歳の男性名義で、4台の中古EVの見積もりを依頼した。8年間は無事故・無違反で、免許証に傷はない。

約50の保険会社が、比較サイトを通じて見積もりを提示してくれた。スマートEQフォーフォーの454ポンド(約8万5000円)からテスラ・モデルYの4887ポンド(約90万円)まで、金額の幅は広い。

8年間無事故・無違反の63歳男性(誰とは言わない)で見積もりをとってみた。
8年間無事故・無違反の63歳男性(誰とは言わない)で見積もりをとってみた。    AUTOCAR

EV保険が同等のガソリン車やディーゼル車よりも高いという事実を無視するわけではない。同じ比較サイトで見積もりを依頼した場合、2019年式のフォルクスワーゲン・ゴルフ1.5 TSI DSGマッチ・エディションの保険料は諸費用込みで350ポンド(約6万5000円)だった。しかし、この調査では少なくとも、相見積もりをとることの重要性を実証できた。また、「EVフレンドリー」と謳う保険会社が最も割高である可能性がある一方で、最も安い保険会社はアドミラル(Admiral)であることも明らかになった。

この数字について、比較サイトを運営するゴー・コンペア(Go Compare)の広報担当社は次のように述べている。

「単純に見えるかもしれませんが、更新時に相見積もりをとることは、自動車保険を節約する最善の方法の1つです。複雑なことをする必要はありません。比較サイトを使用することにより、100以上の見積もりを比較することが可能です」

「当社のデータによると、自動車保険を更新するのに最適なタイミングは、更新期限の27日前で、最も高いのは期限の前日です。平均して、更新まで放置する期間が長ければ長いほど、保険料は高くなります」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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