「ミニバンブーム」再来なるか? 長所と短所 海外で注目集める個性派も

公開 : 2023.12.31 18:05

ミニバンって何が良いの? デメリットは?

ミニバンの一番の武器は「広い室内空間」だ。実用性や使い勝手の良さが重宝される時代、クルマを単なる道具として使う人にも響くはず。一般に「プチバン」と呼ばれるような小型車でも、室内の広さはワンクラス上(あるいはそれ以上)ということもある。

多人数乗車でも窮屈な思いはしないし、モデルによってはキャプテンシートなど豪華装備が充実している。中国市場では広さが重視されており、高級車に求める特徴の1つとなっている(中国仕様にはロングホイールベース車の設定が多い)。また、キャンプや釣りなどアウトドアにも適しており、さまざまなライフスタイルに柔軟に対応できる。

フォード・トルネオ・クーリエ
フォード・トルネオ・クーリエ    フォード

一方で、効率の悪さも無視できない。ミニバンの乗車定員は5~10名程度が一般的だが、常にフル乗車で走るわけではない。多くの場合、広さを活かすことができず、ただ「空気」を運ぶ状態になってしまう。なんとなく「もったいないな」と感じる人も多いのではないだろうか。

また、背の高い箱型ボディは空力性能が心配だ。空気抵抗が大きいと燃費や安定性、快適性にも影響を与えるし、横風にも煽られやすい。とはいえ、SUVと同様にこれから高性能化が期待できるし、電動化に伴う低重心化や細かい制御など一定程度の改善も見込める。

他のクルマからはどう映るだろう? ネット上では、ウィンドウフィルムを貼った大きなミニバンが前方にいると信号などが見えないという声もある。周囲に圧迫感を与えるのは確かだが、ミニバンに限った話ではない。これを解決しようとするなら、クルマの設計ではなく、ドライバーのマナーを含む交通環境に焦点を当てるべきだ。

生活に寄り添ってくれるクルマ

まだまだ語り足りないが、筆者は今後ミニバンの魅力が再発見・再発明されることを期待している。それには個人的な思い入れもある。

筆者が幼い頃、我が家には「天才タマゴ」こと初代トヨタエスティマがあった。子供ながらにその形や広さ、頼もしいエンジンが大好きで、家族の思い出も詰まっている。免許を取る頃にはすでに買い替えてしまっていたが、もしタイミングが合えば両親にエスティマを譲ってもらうよう頼んでいただろう。

ダチア・ジョガー
ダチア・ジョガー    ダチア

人の生活にとことん付き添ってくれるミニバンには、表現し難い魅力を感じる。地域によっては縮小してしまうかもしれないが、欧州では多様性が豊かだし、中国の盛り上がりもアツい。日本独自の発展も楽しみだ。

ミニバンはこれからも驚きと喜びを与えてくれると思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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