悪路を進む「確実な足取り」 ジープ・グランドチェロキー 4xeへ試乗(2) ゆったり走る心地よさ

公開 : 2023.12.05 19:06

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瞬間的に大トルクが発揮され走りは滑らか

ジープグランドチェロキー 4xeで、実際にオフロードコースへ挑んでみると、その走破性には唸ってしまう。EVモードへ固定すれば、信じられないほど走りは滑らか。瞬間的に最大トルクが発揮され、確実な足取りでノシノシと悪路を進む。

競合する有能なオフローダーと同様に、クルマの能力が限界を迎える前に、ドライバーの勇気が燃え尽きてしまいそうだ。30度を超える斜面を横向きに走っても、横転することはないらしい。普通に暮らしている限り、走破できない場所は存在しないだろう。

ジープ・グランドチェロキー 4xe サミットリザーブ(欧州仕様)
ジープ・グランドチェロキー 4xe サミットリザーブ(欧州仕様)

プラグイン・ハイブリッドのパワートレインは、ジープ・ラングラー 4xeと同じ。273psと40.7kg-mを発揮する2.0Lガソリン・ターボエンジンに、2基の電気モーターと駆動用バッテリーが組み合わされている。

メインの駆動用モーターは、136psと26.9kg-mを発揮し、8速ATへ内蔵されている。内燃エンジンで走行するのと同様に、EVモード時でも変速が可能で、ローレンジへ切り替えることもできる。

エンジン側には、電圧48Vで稼働するスターター・ジェネレーター(ISG)が組まれ、39psと6.0kg-mの力で低回転域でのトルクを補う。その名の通り、エンジンの始動や駆動用バッテリーの発電も担う。

システム総合での最高出力は380ps、最大トルクは64.8kg-mと頼もしい。0-100km/h加速は、2510kgの巨体でありながら6.3秒でこなすそうだ。

アメリカンにゆったり走るのが心地良い

ハイブリッド・システムの洗練度はほどほど。内燃エンジンと駆動用モーターとの協調が稀に取れず、不意にエンジンが高めの回転域で動き始めることがあった。

フル加速時には、ジープ・ラングラー 4xeより控えめながら、少しザラついたエンジン音も聞こえてくる。380psを引き出そうとすると、アラが目立ってしまう印象だ。

ジープ・グランドチェロキー 4xe サミットリザーブ(欧州仕様)
ジープ・グランドチェロキー 4xe サミットリザーブ(欧州仕様)

グランドチェロキー 4xeは、ゆったり走らせるのが心地良いSUVだといえる。アメリカンな見た目の雰囲気どおり。

操縦性は、欧州の競合モデルほど磨かれた印象は抱かないものの、許容できる範囲。乗り心地はしなやかで、路面の不正をしっかり均していた。郊外の道を飛ばすような場面では、ドライバーが8速ATのギアを直接選んだ方が好ましい。

ステアリングホイールの操舵感は重め。フィーリングは、低速域やオフロードでは滑らかながら、高速域では戻されるような手応えを伴う。姿勢制御は良好。ランドローバーのような上質さは期待できないとはいえ、ランドクルーザーと互角だろう。

全体的な動的特性は素直と呼べるもので、特有の魅力もある。落ち着いたコーナリングで充足感を与えるタイプではないものの、ハイブリッド・パワートレインと同様に、気張らずに走るような速度域での印象は優れる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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