走りと内外装を大幅アップグレード 英アストンの主力スポーツカー「独自性」を強調へ

公開 : 2023.11.27 18:05

・アストン マーティンのスポーツカー、ヴァンテージがまもなく新型へ。
・スポーティな走りとスタイリングを強調。DB12やDBXと差別化。
・改良型4.0L V8を採用か。「6気筒は適さない」と担当者。

ヴァンテージ新型、スポーティさを強調

英国の自動車メーカーであるアストン マーティンは、スポーツカーのヴァンテージの新型を2024年に発表する見込みだが、従来のモデルとは異なる個性的なキャラクターが与えられる。

同社のCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)であるマレク・ライヒマン氏が取材で語ったところによると、次期ヴァンテージは「完全なフーリガン」のようなスタイリングとなり、スポーティ性を強調するという。

アストン マーティン・ヴァンテージが大きな進化を遂げようとしている。(編集部作成予想CGイメージ)
アストン マーティン・ヴァンテージが大きな進化を遂げようとしている。(編集部作成予想CGイメージ)    AUTOCAR

デザインだけでなく、走行性能も大幅にアップグレードされるようだ。DBX 707がヴァンテージを凌駕する性能を発揮し、またDB12DB11から進化してハンドリングが改善されたこともあり、次期ヴァンテージの開発にあたっては「とにかくスポーティさを追求する」としている。

ライヒマン氏は「次期ヴァンテージは、巨大なパフォーマンスを持つDB12と、それに似た感覚を持つDBXから分離させます。完全に違うものでなければなりません」とし、またDBSの後継車については「両者とはまったく異なる」ものになると述べた。

製品およびマーケット戦略責任者のアレックス・ロング氏は、「スポーツカーとGTの幅がより広がり、一方ともう一方が離れていることがおわかりいただけるでしょう」と述べ、各モデルのキャラクターの違いを明確化する姿勢を示した。

ライヒマン氏はスタイリングについて、F1チームのリソースをフル活用することにより、現行型から進化するだろうと述べた。以前、ドイツのニュルブルクリンクでプロトタイプによるテスト走行が行われた際、小型化したグリルや、滑らかになったフロントエンドの造形などが確認された。リアエンドではスプリッターが改良され、4本出しマフラーとリアフェンダーのエアダクトを備えている。

足回りのセッティングとしては、V12ヴァンテージを踏襲し、安定感と俊敏性を向上させることが期待される。しかし、エンジンが今より小型化されることはなさそうだ。メルセデスAMG製の6気筒はヴァンテージには向かないだろう、とロング氏は言う。なぜなら、ヴァンテージが持つエモーショナルな魅力は「音」によるところが非常に大きいからだ。「わたし達は移動手段を作るのではありません。夢を描くのです」

そのため、最高出力510psの現行型の4.0L V8エンジンを改良したものが採用されると見られている。同エンジンを使用するメルセデスAMG SL 63は、最高出力585psを発生していることから、ヴァンテージのポテンシャルにも期待が持てる。

アストン マーティンが収益性の高い高級ブランド化を進めていることから、価格は大きく上昇すると考えられる。参考までに、現行型ヴァンテージの英国価格は13万3920ポンド(約2500万円)から。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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