BMWが高性能の “次期M3” 投入へ 欧州で「iM3」商標登録 4モーターEV、2027年頃発売か
公開 : 2023.12.01 18:05
Mのファンは電動化をどう捉えている?
高性能のエンジン車として長年愛されてきたMモデルの電動化について、ウェーバー氏は次のように述べている。
「NKが非常に野心的であることを示すようなものを用意したいと考えていますが、これ(高性能モデル)は人々が今日慣れ親しんでいるものよりもはるかに上を行っています。製品ラインとしてNKを立ち上げてからそう遠くない時期に登場するでしょうし、人々もバッテリーEVのMを手に入れたいと思ってくださっているので、コアモデルのSOP(生産開始)に近い早い時期に実現したい」
「BMWは、消費者の声をはっきりと聞いています。中には、わたしのところへ来て『Mのファンはこんなものを望んでいない』と言う人もいますが、そんなことはありません。わたし達は多くの顧客調査を行っています。Mのお客様が求めているのは、単純に最上かつ最高のパフォーマンスなのです」
「1メガワットの性能を持つクルマに乗り込み、個々の車輪をコントロールできるようになった瞬間、エンジン音には違いがあるかもしれませんが、クルマの挙動には問題がないと断言できます」
これには、BMW Mを率いるフランク・ファン・ミールCEOも同意見だ。ファン・ミールCEOは昨年、どんな電動パフォーマンスカーを発表する際にも、顧客に「これはクレイジーだ、こんなことになるとは思わなかった」と言ってほしいと語っている。
「M3のストーリーは永遠です。4気筒、6気筒、8気筒、6気筒、ターボチャージャーと、エンジンのストーリーを変えても、その度にM3のストーリーは続いていきます」
「もしかしたらEVになるかもしれませんが、そうなったとしても、必ず “M3” になります。パワートレインがどうであれ、当社のクルマに乗れば、それがM3であることがわかるはずです。わたし達は50年間、時の試練に耐えてきましたし、これからもそうあり続けるでしょう」
ファン・ミールCEOによれば、BMWは電動化によって高性能モデルの魅力が下がるとは考えていないようだ。
「お客様とお話ししたところ、90~95%の方はパワートレインの方向性など気にしていないとのことでした。彼らはただMモデルが欲しいだけなのです。V8を載せないのなら買わないという人もいますが、それはそれでいいと思います。わたしは尊重します」
M専用EVの利点と課題
興味深いことに、BMWの販売責任者であるピーテル・ノータ氏は9月のIAAモビリティで取材に応じ、EVのMモデルは現在のガソリン車と同じ名称を使用しない可能性を示唆するような発言をした。
「ノイエ・クラッセではベンチマークを設定し、現在M3またはM4と呼んでいるクルマの高性能バージョンも用意する予定です。Mも電動化を進めており、i4 M50とi7 M70の成功がそれを物語っています。つまり、Mは電動化した未来においてもブランドの中核であり続けるのです」
現行のi4 M50とi7 M70は、エンジン車のM4やX5 Mと同等の出力を持つが、「M」モデルというよりもむしろM440iのような「Mスポーツ」モデルとしての位置づけが強い。
MモデルのEVは、より専門性を高めたものになるだろう。ファン・ミールCEOは軽量化とM特有のダイナミクスを優先すると示唆している。
同氏は以前の取材で、EVは同クラスのエンジン車よりも本質的に重いとし、「軽量化技術への投資を続ける必要があります。わたし達はすでに多くのカーボンを扱っています。しかし、EVにはいくつか利点があります。例えば、遮音材の一部を取り除くことができますし、バッテリーの軽量化はエンジニアにとって興味深いことです」と語った。
こうした技術の一部は、すでに市販車で導入されている。
「XMのボディコントロールは、重心がとても低いため驚くべきものです。スプリングやダンパーを柔らかくしても、ロールが発生しないのです」
画像 次期BMW 3シリーズ、新たな基準を打ち立てるEVへ【BMWビジョン・ノイエ・クラッセ・コンセプトを写真でじっくり見る】 全20枚