ポルシェ911 詳細データテスト 精密さ極まるシャシー レースカー並みの空力 積載能力はほぼ皆無
公開 : 2023.12.02 20:25 更新 : 2024.02.12 17:30
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
GT3 RSのフロントトレッドは、GT3より29mmワイドだ。そのため、曲がりくねったB級道路は、あまり適したコースではない。タイヤの接地面は、GT3ばかりか、先代GT2 RSよりも大きい。アジャスト性を十分に引き出すには、よりハードなドライビングが求められる。
もっとも気になるのは、GT3より50%高められたスプリングレートだ。それでもRSが、公道で走りやすいのかどうかは知りたいところだ。
そこは特筆するに値する。その気になるに違いない。ちょっと場違いな印象は拭えないが、無理にノーマルやスポーツといったモードを使わず、ダンパーをソフトにできるトラックモードのまま走ったら、GT3よりサイドウォールが厚いRSは、しなやかで手際よく、より高級志向の911ターボよりも許容できる。
際立っていたのはふたつ。まず、ボディシェルは並外れて強固に感じる。これまで、ミリ単位でここまで正確にホイールコントロールされているような感覚の911はなかった。
次が一点の曇りもないステアリングのレスポンス。RSのステアリングラックは、GT3のそれより振れやすいが、正確さと俊敏な感じはまた別の話で、ボディ幅を打ち消してくれる。
それらがもたらす究極の精密さこそが、GT3 RSのエッセンスだ。当然、冷えて湿った路面では苦戦するだろうし、スロットルの懸命な使い方が求められるが、サーキットスペシャルで適さないコンディションを走れば、トゲトゲしくもなるものだ。
適したコンディションであれば、GT3 RSはバランスがよく、なめらかで、選んだ走行ラインを外さない。GT3ほどは振り回せないが、いったんクルマとドライバーが噛み合えば、公道であっても、リアウイングの仕事ぶりが感じ取れるだろう。斬新であり、ちょっとした魔法のようだ。