「想像を超えた成功作」が3代目へ 爽やかな走り プジョーE-3008へ試乗 1.2LマイルドHVも登場

公開 : 2023.12.11 19:05

人気の3008が3代目へ一新 ステランティスの新プラットフォーム採用 98kWhバッテリーで航続は最大700km 爽やかで心地良い走り 英国編集部が評価

98kWhのユニットで航続は最大700km

テスラではなく、「ステラ」。プジョーも属する、ステランティス・グループの新プラットフォームの名前だという。今後、同グループの基礎骨格として活躍することになるが、その第一弾が新しいプジョー3008だ。

現行の2代目3008が発売されたのは、2017年。想像を超えた成功作となり、世界中で合計130万台が売れた。新型にはその人気を維持するという、大きな期待が掛かる。

プジョーE-3008 210 GT(欧州仕様)
プジョーE-3008 210 GT(欧州仕様)

このステラ・アーキテクチャには、モデルサイズに応じてスモール、ミディアム、ラージ、フレームという4種類が存在し、3008が採用するのはミディアム。バッテリーEVを前提に設計され、内燃エンジンとプラグイン・ハイブリッドにも対応する。

ステラ・ミディアムの開発で主任技術者を務めたエルヴェ・シャイデッガー氏は、「バッテリーを中心にすべてが決まりました」。と話す。可能な限りの大容量化が目指され、シャシー剛性を担う役割も与えられているという。

実際、E-3008では最大98kWhのユニットも選べ、1度の充電で走れる距離は最長700km! 最初に提供されるベーシックな仕様には、73kWhのバッテリーが載るが、それでも航続距離は524kmが主張される。急速充電能力は、160kWに対応する。

新型E-3008の全長は4542mm、全幅が1895mm、全高が1641mm。2代目から僅かに大きくなったが、ファミリー・クロスオーバーとしてド直球の大きさといえる。

シルエットはファストバック風。従来以上にスマートでバランスが良く、高級感も漂わせる。筆者は、アウディQ4 e-トロンより存在感があると思うが、いかがだろう。

EVだけでなく1.2LマイルドHVも

パワートレインは、210psのシングルモーターで前輪駆動が標準。英国価格は4万5850ポンド(約848万円)からに設定された。1.2Lエンジンを搭載したマイルド・ハイブリッドも、当初から設定されるという。

約1年後には、先述の98kWh仕様が追加され、そちらには230psの駆動用モーターが組み合わされる。73kWhの駆動用バッテリーにツインモーターが載る四輪駆動と、プラグイン・ハイブリッドも同時期に投入予定だ。

プジョーE-3008 210 GT(欧州仕様)
プジョーE-3008 210 GT(欧州仕様)

インテリアも、スタイリングと同様に質感を高めた。チープなクロームメッキは見当たらず、風合いに優れるファブリックと本物のアルミニウム製トリムで、スタイリッシュに仕立てられている。

アンビエントライトは、筆者がこれまで見てきた中ではベスト。ダッシュボードがバックライトで照らされ、ドライブモードによって色が変化する。奇抜な印象は与えず、モダンな雰囲気と調和している。

プジョーは、E-3008の説明資料で「魅力」や「魅惑」という表現を多用している。確かに、それを納得させるデザインではないだろうか。

最近のプジョーは、小さなステアリングホイールが低い位置へ伸びる、i-コクピットを特徴としている。新型では、進化したパノラミックi-コクピットを、上位グレードのGTで選べる。

小ぶりなステアリングホイールはそのままに、モニターはダッシュボードの高い位置へ移動。従来のように、メーターがリムで隠れることはなくなった。身長の低いドライバーは、前方視界にモニターの上端が重なるかもしれないけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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