スバル・レガシィB4 2.5i Eysight tS
公開 : 2013.11.11 17:28 更新 : 2017.05.29 18:42
さて自然吸気レガシィtSの走りは、街中では2010年に出たマイチェン前ターボベース車より、ちょっと引き締まった感触。ノーマルより大きめのコツコツがあり、わずかにボディが上下する。もちろん不快感はないものの、これまでのtS最大の不思議が「ノーマルより快適な乗り心地」だったことを考えると、ちょっと意外である。
そのねらいを開発担当氏は「これまでのtSはノーマルとの差がちょっとわかりにくい……という声がありまして」と説明する。従来のtSでも、ノーマルと時間を置かずに高速を10kmも乗り比べれば差は歴然だ。しかし、あまりに良好な乗り心地に「物足りない」という思う向きがあるのも容易に想像がつく。まあ、そこがtSの魅力だったのが、あまりにモノのわかった上級マニア向け商品の色合いが強すぎたのかもしれない。今回の自然吸気エンジンついう選択もそうだが、STIとしては、tSをもう少し一般のクルマ好きも手を出しやすいものにしたいという意図がある。
ただし、高速そしてワインディングに乗り入れると、tSの美点は健在だ。とにかくステアリング、ブレーキ、スロットルの操作が一発で決まる。日本の法定速度内ではボディ上下動が完全におさまらないが、手足の操作に「踏みすぎて戻す」、「切りすぎて修正する」、「あるいは切り足りずに切り増す」という操作はほとんど不要である。当たり前……というなかれ、現実にはこういうクルマはそうはない。エンジンとブレーキは基本的にノーマルのままだが、すべての操作系とレスポンスの波長が見事なまでに統一されている。細かい修正操作の有無は、1時間も運転していると、ノーマルとの疲労度のちがいに明確にあらわれる。