不可能と言われた「防弾」EV テスラ・サイバートラック、ついに納車開始

公開 : 2023.12.02 06:05

・初公開から約4年、テスラがついにサイバートラックの納車を開始。
・航続距離547km、最高出力845ps、防弾ボディを特徴とする新型EV。
・予約台数は100万台? 未来的な電動トラック、約1185万円から。

約4年越しの出荷開始

米国の自動車メーカーであるテスラは11月30日、サイバートラックの納車を開始した。重量3トン以上、最高出力845ps、防弾を謳うステンレス鋼合金製ボディの新型EVが、初公開から約4年を経てついに購入者の手に届けられる。

テスラのイーロン・マスクCEOは顧客向けの特別イベントで、「当社の最高の製品であり、道路上で最もユニークなものだと思う。未来は未来らしくあるべきだ」と述べ、出席した購入者数名にサイバートラックを引き渡した。

テスラ・サイバートラック
テスラ・サイバートラック    テスラ

当初、テスラは納車開始予定を2021年としていた。これまで100万台以上の予約が入ったと言われているが、現時点での具体的な受注数は確認できていない。

サイバートラックには、最高出力845psのトライモーター(モデルSプラッドと同じ)仕様と、最高出力600psのツインモーター仕様が用意される。シングルモーター仕様は2025年ごろに導入される見込み。価格は7万9990ドル(約1185万円)からで、初期限定のローンチ・エディションでは9万9990ドル(約1480万円)となる。

最もパワフルな仕様で、0-100km/h加速2.7秒、1/4マイルは11秒未満とされている。

バッテリーの正確な容量は公表されていないが、1回の充電での航続距離は547kmを謳う。ボディサイズは全長5885mm、全幅2027mm、全高1905mm。車両重量3107kgと大柄だが、空気抵抗係数はCd値0.34に抑えた。全車、セミHGVと同じ最大1MW(1000kW)の充電速度に対応するという。

荷台は屋根付き(「ボールト」と呼ばれる)で、最大1134kgの積載能力を持ち、ボディ前部にも収納スペースがある。最大牽引能力は4990kg。

頑丈かつ高剛性のボディ

サイバートラックのボディは、テスラが設計したステンレス鋼合金でできており、9mm弾に対する防弾性だけでなく、スーパーカーと同等のねじれ剛性を持つと言われている。

マスクCEOはステンレス鋼合金を用いた製造ついて、「ボディパネルをプレスすることはできません。プレス機が壊れてしまうからです」と述べつつ、「重心が低いので横転しません。もし他車と口論になったとしても勝てるでしょう」と性能や強度をアピールした。

テスラ・サイバートラック
テスラ・サイバートラック    テスラ

オフロードの走破性も特徴の1つとされ、17インチ(約43cm)の最低地上高、35インチのオールテレーンタイヤ、最大4インチ(約10cm)車高調整可能なアダプティブ・エアサスペンション、ロック式ディファレンシャルを装備している。

トヨタbZ4XレクサスRZにも搭載されるステア・バイ・ワイヤ技術を採用し、少ないステアリング入力で旋回できる。四輪操舵システムの助けもあって、サイバートラックの最小旋回半径はモデルSよりも小さい。

「たまに、珍しい製品が登場します。希少で珍しいものがね。専門家に不可能だ、絶対に作れないと言われたクルマがここにあります」とマスクCEOは述べた。

納車の開始は大量生産の開始でもあるが、本格的な生産がいつになるのか、これまでに何台売れたのかは不明だ。英国での発売の詳細については、まだ明らかにされていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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