新型スズキ・スペーシアが軽3強の中で注目なワケ NAとターボで試乗・検証
公開 : 2023.12.08 20:25
余裕で走れるターボモデル
続いてはカスタムのXSターボに。ドアを開けて乗り込むと、本革巻きのステアリングホイールとシフトノブ、それにセミマットのボルドーとピアノブラックを用いたインパネまわりは上質に仕立てられ、標準モデルとは雰囲気がかなり異なる。シート表皮も一部にレザーを用いて、なかなかスポーティ。スーパーハイトワゴンでも走りのイメージにこだわりたいという人は、こちらを選びたくなるだろう。
エンジンはターボ付きゆえ、標準モデルと同じ上り坂を走っても余裕を持って駆け抜けていく。ターボラグはほとんどないので加速時のレスポンスも良く、エンジン回転数が高まれば多少はノイジーになるが、ノンターボよりは低めだ。背の高いクルマゆえ、コーナリング時には大きめのロールを伴うが、この手のモデルとしては平均的といえよう。
カスタムでは高速道路でACC(アダプティブ・クルーズコントロール)を試すこともできた。先行車に接近したときの減速や、いなくなったときの加速もスムーズだ。また、試せなかったが、ウインカーのレバーと連動して、自動で加減速走行を行いスムーズな追い越しや合流ができるという。これはなかなか役に立ちそうな運転支援システムだ。
デュアルセンサー・ブレーキIIをはじめとした予防安全システムに関しては、幸いなことに(?)試す機会はなかったが、事故が起きたときのダメージを考えると、軽自動車こそ充実させて欲しいものだ。ACC以外の予防安全システムは、エントリーグレードまで標準装備にしている点は高く評価したい。
すべての面で進化していた
フロントピラーを細くしたことによる前方斜め視界の良さ、室内の多彩な収納、後席収納時の低床化で広がった荷室高など、スーパーハイトワゴンとしての使い勝手を高めた新型スペーシア。
数多のライバルに対して、いちばんのセリングポイントは後席の快適性だろう。広さに関しては、ライバルたちも大差ないと思われるが、前述の「マルチユースフラップ」や左右独立でスライド&リクライニングし、センターアームレストも備えたリアシートは座り心地も乗り心地も良い。
モチーフはコンテナであっても、室内は居心地の良い空間に。新型スペーシアは、そんな開発者の思いが感じられる仕上りだった。