トヨタ・ハイラックスが電動化 2.8Lディーゼルに「ハイブリッド」 燃費と走破性向上へ

公開 : 2023.12.04 18:05

・トヨタ欧州部門はハイラックスに48Vマイルドハイブリッドを導入。
・2.8L 4気筒ディーゼルに電気アシスト。アイドリングストップも改善。
・実用性は変わらず、快適性とオフロード走破性が向上。

ハイラックスもついに電動化

トヨタの欧州部門は12月4日、ピックアップトラックのハイラックスに48Vマイルドハイブリッドを導入すると発表した。走行性能と快適性、効率性の向上を図っており、欧州では2024年半ばに発売予定である。

従来の2.8L 4気筒ディーゼルエンジン(最高出力204ps)にベルト一体型のスタータージェネレーターを追加し、後部座席の下に積んだ48Vバッテリー(重量7.6kg)から電力を供給する。減速時に充電する回生システムも備えている。

トヨタ・ハイラックス(48V MHEV)
トヨタ・ハイラックス(48V MHEV)    トヨタ

加速時には16psの出力と6.6kg-mのトルクを追加してアシストする。トヨタは、これがハイラックスの加速性能(0-100km/h加速10.7秒)にどのような影響を与えるかについては明らかにしていないが、目に見えて性能が向上することはないだろう。

一方で、従来の非電動化ディーゼルエンジンと比べて5%の効率向上を見込んでいる。アイドリングストップ機能も改良され、停車状態でのエンジン停止時間を長く保つことができる。

燃費は公表されていないが、従来車の12.6km/l(WLTPサイクル)を基準にすると、新型では13km/l以上となるはずだ。

また、スロットルレスポンスと静粛性が向上し、発進もスムーズになるため「渋滞時のドライブがより快適になる」という。

オフロード走破性が向上 実用性は変わらず

オフロード性能も向上している。回生ブレーキシステムにより急な下り坂での安定性が高まり、電気アシストにより厳しい地形でもスムーズな加速が可能になるとされている。トヨタによれば、アイドリング回転数も720rpmから600rpmに引き下げられ、コントロールしやすくなっているという。

トヨタは、最大700mmの水深に耐えられるよう、防水性には特別な注意を払っていると述べた。積載能力に変更はなく、最大積載量は1000kg、牽引能力は3500kgである。

トヨタ・ハイラックス(48V MHEV)
トヨタ・ハイラックス(48V MHEV)    トヨタ

ハイブリッドのハイラックスの欧州価格は未定だが、現行モデルよりも若干上昇すると考えられる。

トヨタ・プロフェッショナルの製品マーケティング担当シニアマネージャーであるクウィンテン・シジス氏は、今後のパワートレイン展開について次のように述べている。

「わたし達はマルチ・パスウェイ(メーカー)として行動し、考えており、それはハイラックスを含むすべてのモデルに当てはまります。もちろん、ハイラックスはグローバルモデルであるため、開発にあたってはこの点を考慮する必要があります」

「現在のところ、これ(マイルドハイブリッド)に代わるパワートレインの具体的な計画はありませんが、検討されていることは確かです。今後数か月のうちに、ハイラックスの代替パワートレインがより具体的に展開されるかもしれません。しかし、現時点ではまだ内燃エンジンで行くしかない。これは最初の、小さな一歩なのです」

実際、トヨタは英国で水素燃料電池車のハイラックスFCEVプロトタイプを複数台製造しており、その能力や市場需要についてテストを進めている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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